良くまとまっていると思いました
2018年6月8日の日経に、広報室長は官房長官たれという文章が、私見卓見のコーナーにありました。ユナイテッドパブリックリレーションズ社長の長島勝さんのオピニオンです。
広報室長は、内閣官房長官と同様、企業のかなめであり、どのような仕事をしないといけないか、組織権限はどうあるべきかを、短い文章に上手くまとめておられます。
まず、広報の仕事は、
- 社長の信頼できる人を、広報室長に任命する
- 社長に代わり、社の立場を正しく伝える
- 会社の実態と方針を把握
- 社内外の動向など、情報を社長にインプット
そのために、すべきことは、常務会に出たり、情報収集したり、会社や企業のためになる企画なら断固としてするなど、と紹介があります。
また、やってはいけないことは、社長以外の意見に左右される、社長の代弁ができない、社内情報を把握できない、マスコミのニーズについていけないなどがあるとされています。
エース級の人材が必要と締めくくられています。
コメント
仕事で広報自体はしたことがないのですが、広報宣伝の部署でブランドマネジメントをしていた関係で、約12年間、結果として、広報や宣伝・広告といったものを身近で見聞きしました。
確かに、事件が起こったり、大きな話題があるときなど、マスコミが来るようなときであれば、広報にはこのオピニオンにあるような機能が求められると思います。
ただ、最近は、例えば、高校のような組織でも広報を設置することが多く、広報を中心に、パンフレット(今は全部Webですが)を作ったり、ブランディングをしたり、しているようですし、広報室長は別として、広報自体には、もう少し、地道な活動もあるように思いました。
広報と宣伝を同じ部署で行うこともあれば、広報と宣伝が違う部署で行われることもありましたが、最近は、同じコミュニケーションということで、一つに括ることが多くなっているのかなという感触を持っています。
元々は、媒体にお金を使って、企業なり商品なりを知ってもらうのが宣伝。マスコミを経由して費用を掛けずに、企業なり商品を知ってもらうのが広報。というように整理していたようです。この関係は、購買と営業の関係です。マスコミに強い立場の宣伝と、弱い立場の広報です。
しかし、Webが出現して企業が自ら媒体を持つようになり、広報と宣伝が、質的に非常に近いものになっているように思います。
また、スターバックスやGoogleのように、基本的に広告をせずに、広報中心で、強いブランド力をつける会社も多くなっていることもあり、広報の重要性が言われています。
上のオピニオンでは、まだ、社内の関係性の構築であるインナーコニュニケーションには言及がありませんが、最近は、こちらの方も相当重視されています。
昔は、人事や総務がやっていたような、組織の風土づくりなどが、コミュニケーション職能の仕事になってきています。
ちなみに、英語では、広報はPublic Relation(PR)で、宣伝はPropaganda、広告がAdvertisement(Ad)です。
辞書的には、広報は社会や社内との関係を構築することを示し、宣伝は政治的・宗教的など特定の考え方に仕向ける活動を意味し、広告はある考えを媒体を使って情報伝達する活動となっています。
日本語で、広告することを、PRするということもありますが、和製英語であり、英語的には誤用になります。PRは、社会や社内のとの関係性というものが必要で、単なる商品の情報発信は、PRの意味とはズレます。
宣伝部といっても、やっていることは、広告が主であり、Propagandaとは、ちょっとち違うのかと思います。
最近は、コミュニケーション部というような言葉を使うことが多く、宣伝部という名称は少なくなっていますが、この言葉の問題も、その原因の一つかもしれません。
総じて、コニュニケーションという括りですね。ビジネススクールでも、コミュニケーションは人気科目だと思います。