Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

SHIBUYA109ロゴ コンテスト

公募で新しいロゴマークを決定

2018年7月22日の株式会社SHIBUYA109エンターテインメントのニュースリリースに、2019年に40周年を迎えるSHIBUYA109が、新しいロゴを公募し、ロゴを決定したというものがありました。

www.shibuya109.co.jp

  • 全国のSHIBUYA109のシンボルとなる新しいロゴマークを決定
  • 応募総数9,537作品。最終候補4案による最終一般WEB投票
  • 「みんなで創っていきたい」という想いから一般公募形式を採用
  • 投票結果により、新しいロゴマークを決定
  • 企業理念「Making You SHINE!」
  • これからの社会を担う新しい世代の今、この時を輝かせ、彼らの夢や願いを実現していく。渋谷から多くの夢が実現し、世界に羽ばたいていく、そのサポートができるブランドへと進化していく
  • SHIBUYA109ロゴコンテスト公式サイトURL: https://109logo.jp/

109logo.jp

 

コメント

ロゴコンテストの特設サイトがありますので、これを見てもらえればと思います。面白い取り組みです。

一般公募ですが、賞金もそれなりにありますし、109のロゴのデザイナーになれるということは大変名誉なことなので、多くの応募があったようです。

 

応募要項に、ロゴタイプ&シンボルマークと、ロゴタイプだけのものを、2つ制作するように記載があります。

次の条件があります。

  • シンボルマークには、SHIBUYA109の外観である「シリンダー」を入れること
  • ロゴタイプには、SHIBUYA109の文字を入れること
  • SHIBUYAは大文字アルファベット表記
  • カラーでも単一色でも使用可能なデザインであること
  • シリンダーのデザインに制限はない

シンボルマークに、シリンダーを使うことという、明確な指示があるので、案外デザインしやすかったのではないでしょうか。

 

また、「イチからデザイ」ンというものと、「109ロゴメーカーでデザイン」というものがありました。109ロゴメーカーのものは、Twitterからツイートすることで応募するということになっていたようです。

盛り上げ策の一つになっていたのではないかと思います。

 

最優秀賞に選ばれたロゴの解説です。

今までもこれからも変わらぬ愛称「マルキュー」の「マル」をロゴのメインモチーフに。シンプルでインパクトのあるロゴタイプは、どんなモチーフにも合うデザインです。渋谷の象徴であるシリンダーは、トップを印象的に配してシンボルマークにしました。カラフルなグラデーションで若者の流行の発信地、渋谷らしさを表しています。

マルとカラフルがコンセプトですね。

ロゴタイプですが、眼鏡のようです。水中眼鏡とシュノーケリングを想像しました。

 

また、企業理念と「Making You SHINE!」と、その説明も、SHIBUYA109らしいものです。顧客の若い女性にも、テナントの店舗にも、双方当てはまるような良いコンセプトだと思いました。

 

通常のブランドマネジメントからすると、109は限界事例です。

  • 「東急」を、トーキューの音から「109」にする段階で「?」となり、
  • それを「イチマルキュー」と呼ぶとなると、トーキューとの関係が不明になり、
  • 若者が更に「マルキュー」と呼ぶとなると、最初のトーキューからだいぶ離れてしまい、どうしたものかとなります。

はじめは、日本の、それも関東ローカルの話なので、なんとか許されるのかなぁと思っていましたが、シネコンなどは、全国展開ですよね。

東急というと電車や百貨店の固いイメージ。109というと、SIBUYA109や109シネマズのようなエンタテインメント系、と区別しているのでしょうか?

ブランド拡張の限界を、表記や言葉で回避していっている事例なのだと思いました。

 

ちなみに、新しいロゴへは、2019年4月に変更するということです。