Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

NISSANのブランドロゴ変更

公式発表がありました

2020年7月15日付の日産のWebサイトに、NISSANのブランドロゴ変更についての公式の説明が掲載されていました。

下記のWebサイトを読んでいただきたいと思います。

新しいブランドロゴが、日産の新たな地平を開く

 

また、YouTubeでブランドビデオも公開されています。

 

www.youtube.com

 

日産アリア(ARIYA)という新型クロスオーバーEV車の発表に合わせたようですが、この情報は、6月頃からネットに掲載されていました。

通常、この種の情報は発表日までは、機密扱いなのかなと思っていたら、そうでもなかったのが、今回です。

もしかすると、6月ロゴの株主総会前に合わせて、新車発表とロゴ変更をしようと思っていたのかもしれませんが、新型コロナウイルスの影響が出て、少し、ズレてしまったのかもしれません。 

nishiny.hatenablog.com

 

内容的には、

  • デジタルの時代であり、それにふさわしいものにした

デジタルアプリや動画アプリで、さまざまな背景のもとで移動したり、振動したりするさまは、まるで生きているかのように見えます。それは今日の絶え間なく変化する環境に対応し、ワクワクする魅力を持ち続けるために必要なしなやかさを反映しています。

  • デザインプロセスとしては、立体をはじめに考えてから、平面をつくった
  • 今後、新車のみならず、レターヘッドや店舗看板に適用していく

とあります。

車のエンブレムなどは、LEDで光らせることを念頭に置いているようです。日産アリアのフロントグリルのエンブレムは結局は、立体です。LEDの光を点燈したときは立派に見えますが、消灯したときにNISSANロゴは目立たなくなります。EVでは良いのかもしれませんが、ここは議論があるように思いました。

 

また、YouTubeのビデオを見ると、確かにロゴに動きがあります。(※ 本当にこれを、アプリですることはないでしょうが。)

 

コメント

NISSANロゴ自体は、黒(グレー)か白が基本で、背景や赤をサブカラーとして使っているようです。

しかし、YouYubeの最後のロゴは、背景色が赤で、そこに赤でNISSANを表示して、陰影でロゴを浮かび上がらせています。これは、デザインナーの先走りであり、通常、この方法が取られることは無いだろうなと思いました。

 

ONとOFFで、ロゴが出たり出なかったりする点などが特徴でしょうか。このあたり、従来のブランド論で言われている、ロゴの取り扱いというものではなくなっています。

日産はよく考えて今回の変更をしているはずですので、どんな運用をするのか、研究するのに値すると思います。

なお、文章には、ゴーン元会長が推し進めた、従来のロゴとの決別とか、企業イメージを刷新する必要といったような話はありません。それは書けないですよね。

 

 

それはさておき、気になったのは日本語です。

文章は日本語ですので、日本の社員、販売店、顧客、関係者に向けた発信ですが、これを読んで、今回のロゴのユニークさやすばらしさが伝わるのかなかと思いました。

 

グローバル企業では、まず英語で文章を書いてから、日本語にするでしょうから、日本語への翻訳になることは分かるのですが、伝えたいことを、単なる翻訳を超えて、一番伝わるように表現することが必要なような気がしました。

今回のロゴ変更の責任者はデザイン担当の外国人専務とあります。英語の文章は見ているはずです。しかし、その方が日本語が日本語のネイティブのレベルで分からないときは、日本語にするときは、広報の責任で、思い切って文章の構成や使う単語を変えないと、この文章では、折角のブランド変更の意図が伝わらないように思いました。

 

しかし、このことは、別の視点でいうと日本人が下手な英語で、グローバル発信をすることを止めてくれという外国人の主張にもつながります。

海外の会社のコミュニケーションの責任者が、日本のWebサイトを見せないように(リンクしないように)していることがあります。

おそらく、下手な英語での発信は足を引っ張るので、日本からの英語の発信はやめてくれという思いがあるのだろうと思います。

 

海外の新聞記事をちゃんとプロが日本語に翻訳しても、その日本語では意味が通じにくいものが、日本人の新聞記者が意味内容を理解して、文章を再構成して自身の日本語で書くと、良く理解できるようになったりします。

グローバル企業においては、正しい翻訳の一歩先を行く、翻訳とは違う、この段階が必要になってきているような気がします。

 

※ 追伸

朝日新聞の2020年7月16日に追加情報がありました。

  • 新ロゴは、今後の日産の新型車に使用し、現行車にはこれまでのロゴ
  • アリアは、2021年中ごろに発売予定
  • ロゴ発表に合わせて700億円の社債発行

(コメント)

アリアの発売は、2021年というのは、どういうことでしょうか?ブランド変更のシンボㇽだと思ったのですが、アリアの開発が遅れているんでしょうか?

Webサイトなどは、新型車、旧型車、どちらも既に新ロゴに変化しています。

テスラでは、発売前に製品発表することがよくありますが、日本車では珍しいと思います。

 

※※ 追伸その2

テレビCMの最後ですが、YouTubeのビデオと同じ、赤背景に赤文字で陰影でブランドを出す手法です。斬新ですが、赤と陰影だけなので、相当に好き嫌いが出てきそうです。

万人受けは狙わず、特定のコアなファンだけを相手にするという考え方でしょうか?

 

また、視認性が悪いということはないのでしょうか。

少なくとも看板では無理ですね。そうなると、媒体毎に違った表現となり、一貫したイメージの形成にはどうかという意見が出てきそうです。 

そこまで含めた一貫性という考えはあり得ますが、世界中をコントロールできるのか、という疑問がわきます。