地域別の出願ルートの使い分けなど
2019年5月31日に、特許庁のWebサイトで、商標出願動向調査の要約が出ています。要約といっても、75ページもある立派なものです。
78ヵ国地域について分析しているもので、国を見るとミャンマーまで入っているので、通常の商標の出願国(ハウスマークを全世界で取得するようなものを除く意味)としては、十分な情報だと思います。
2017年までのもので、2018年はまだ入っていません。
各国の比較では、中国が多いのはそうなのですが、日本も2014年からは伸びているようです。
どうも日本では、区分数が増えており、2013年と2017年を比較すると、区分数が1.69倍になっています。
特に、昔は、外国からの出願人は多区分が多く、日本の出願人はそうでもなかったのが、日本の出願人の日本出願の区分数は、2013年と比較して、3倍になっているとあります(その間外国の出願人はそう伸びていないようです)。
また、分野別では、役務が半分のウェイトを占めるとあります。
日本は、役務(サービス)の国なっているようです。
国内商標をするなら、メーカーをお客さんにするのではなく、役務のお客さんという感じです。
次に、グローバルな国際出願の利用は、順調に増えており、全世界で、55,831件とあります。日本は、世界8位のようです。
指定国は、425,188ヵ国とありますので、一国際出願の指定国は、平均7.6ヵ国という感じです(EUIPOが入るので、本当の国の数はもっと増えます)。
なお、付与後異議の国は、主要国では、日本とドイツとスイスだけのようです。後は、皆、付与前異議です。付与前に戻すという議論が、日本でもあります。
出願の相互関係を見ると、日本の出願人は、中国、韓国には、出願数が超過ですが、アメリカ、欧州には大幅な入超です。アメリカ、欧州は日本を市場としても見ているが、日本は中国・韓国を市場としてみているということなのでしょうか?少し残念です。
おそらく特許は、大幅に出す方が、多いと思いますので、商標の欧米出願が少ない理由は、いまいち、不明です。
欧州はコストが高いからでしょうか?アメリカ法が面倒だからでしょうか?
日本の出願人の外国出願の数は、35,997件とあります。そのうち、直接出願が、68.7%で、24%が国際登録出願、その他はEUIPOです。
国際出願の数は、8,640件とあります。
国毎の直接出願か、国際出願やEUIPOの利用かというのでは、欧州に出すときは、EUIPOで、
米国、中国、韓国、メキシコは、直接出願。
ロシア、スイス、インドは、国際登録経由と使い分けがあるようです。
中国、韓国向けは、出願自体が多かったり、費用が安かったりなのだと思いますし、米国、メキシコは、宣誓とかがあるので、直接出そうとなるのだと思います。
グローバル企業の国際出願比率は、電機、情報、化学などは、2割程度が国際出願を利用しているようです。一方、役務の企業は、各国出願のようです。
日本のグローバル企業の国際出願比率は10.1%で、ドイツの32.2%と差があります。
最後に各国法制のまとめも、良くできています。
この資料、プリントアウトしておくと便利そうです。