Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

レグテック

広告審査で活用

2019年7月8日の日経に、ITを使った規制への対応として、レグテックが紹介されていました。

規制対応 ITで効率化「レグテック」最前線 :日本経済新聞

テクノロジーの分類としては、

  1. リーガルテック:契約や訴訟対応などの法務業務を効率化
  2. フィンテック:金融関連の取引を変革
  3. サブテック:当局が、規制業務の効率化のために使う
  4. レグテック:企業が区内外の規制に対応するために使う

があるようです。この記事は、この中のレグテックについてのものです。

regulation technologyで、レグテックとあります。

 

  • AIによるデータ解析のFRONTEO。AIによるデジタル証拠解析が手掛ける会社
  • 広告の表示審査をAIを使って行う
  • 化粧品では、「セラピー」は治療を意味するので使えない
  • 「男性限定」が不適切とすると、「男子のみ」も抽出
  • 景表法、薬機法、商標法などに対応
  • 企業の事業部門や法務担当者が、マニュアルでチェックしているルールを学習して、ルールに沿わない文脈の文言を検知
  • レグテックは、海外で、金融機関の規制に対応するため発達
  • EUの一般データ保護規則対応。クッキー規制。品質不正や品質偽装を防ぐ手段としても、AIのデータ自動解析と、リスク自動検知は有効

というような内容です。

 

コメント

紹介せれていたFRONTEOのサイトを見てみると、広告審査業務の効率化とあります。

広告審査業務の効率化|FRONTEO 人工知能「KIBIT」搭載 ビジネスソフトウェア・ソリューション

 

主に、景表法対応の課徴金を念頭に置いているようです。規定に合わない文脈、ワードを検知とあります。

問題ワードなどを、設定しておくことはできそうですし、AIですので、自分でどんどん学習していくんだと思いますが、果たして、どこまで、できるのでしょうか。

 

社内ルールとしては、ブランドの表示ルールもあります。例えば、BMWのブランドガイドラインは、1000ページに及ぶと云われています。

日本企業でも、色んなブランド関係の表示ルールを寄せ集めると同じぐらいになります。

 

ロゴなどビジュアルについてのルールもあれば、他社のブランドとの関係、などもあります。

最終的な判断は、相当高度で政治的な判断になるのですが、その荒ぶるいをするところに役立つのかもしれません。

 

ポイントは、レグテックがあり、効率化がされているという看板のもと、すべての広告案件を本社の法務・商標・景表法担当者に、集中化できることではないでしょうか。

 

おそらく、今は、現場に任されていることを、専門家のチェックを受ける状態にすべきなのですが、専門家の数も限られおり、本社で対応できるのか?と思います。

しかし、このようなレグテックがあることで、対応できるということになり、それなら安全のために、集めようという気になります。

 

このFORONTEOですが、特許庁から、商標審査についての実証実験もしているようです。

https://www.fronteo.com/wp-content/uploads/2019/06/20190625.pdf

具体的には、新たな指定商品を、どの類似群に入れるかの判断のようです。

海外からは、具体的な商品で商標出願が来ますので、それをどの類似群に入れるかは、手間のかかることだとは思います。

 

折角、AIを使うなら、フィクションが多い、類似群などに縛られずに、本当の市場での商品の類否を判定してもらいたいものですが。

 

商標(標章、マーク)の審査が、AIでどうなるのかという点もポイントです。

審査は審査基準通りで、厳しいが、審判にいくと良く登録になるというのが、現状ですが、AIに審査や審判の基準を覚えてもらって、類似する可能性を割り出すということになりそうです。

 

現在、AIで審査をしているものは、次が有名です。

Toreru(トレル)-簡単・オンライン商標登録サービス

人気のオンライン商標登録サービス|Cotobox(コトボックス)

 

これが主流になるなら、商標弁理士の活躍の場面が減ります。

こうなったら、欧州のように、無審査にして、異議申立てを中心でやっていった方が、良さそうに思いますが、どうでしょうか?

 

審査、審判の基準にAIを使うよりは、周知著名性の立証に、ITやAIを使う方が、筋は良さそうです。