博士と狂人
みなとみらいのTSUTAYAの上の映画館で、「博士と狂人」(The Professor and the Madman)という映画を見ました。メル・ギブソンとショーン・ペンが出ている映画です。
映画『博士と狂人』公式サイト|2020年10月16日(金) ヒューマントラストシネマ有楽町、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国ロードショー
内容は、
オックスフォード英語辞典(Oxford English Dictionary/OED)を作る話になります。マレー(Murray)博士が、苦心惨憺をしてOEDの辞書作りをするという話ですが、編集方針に、全ての時代の英語を収録するとか、引用文献を明記するとかがあるようです。
方法論として、広く英語を話す人々に、協力を呼びかけ、引用例などを送ってもらうという方法を採用します。
マイナー医師(Dr. Miner)は、もとアメリカ軍の軍医ですが、精神に変調をきたしており、精神病院にいますが、大量の引用文献を送って、辞書作りに協力するというのが、大きな筋です。
途中、オックスフォードの理事たちとの悶着があったり、色々と映画は展開していきます。途中で、若きウィンストン・チャーチルが出てきて、マイナー医師のアメリカ逃亡を助けたりします。
もう少し、淡々とした映画でも良かったのですが、相当にドラマチックな仕立てになっていると思いました。
Wikipediaによると、辞書の構想は1857年からスタートして、発行が始まったのは1884年で、最終的にまとまったのは1928年とあります。70年かかっています。(当然ですが、現在も続いているようです)
ビクトリア女王は、1819年~1901年です。チャーチルが、1874年~1965年です。
チャーチルの助けが本当にあってもおかしくない時期ではあります。
ちなみに、マレー博士の方法論は、次の本に詳しく出ています。
引用文献を一般の人に送ってもらうという手法は、非常に現代的です。Webの発想にも近いですし、Wikipediaも近いものがあります。
ただ、送ってもらえば送ってもらう程、処理する情報量が増えます。
コンピュータや自動化のためのOA機器がない時代に、分類したり、Boxに入れたり、表を作るだけで、この作業をするとなるとその労力は大変なものだったろうなと思います。
19世紀の中盤からスタートして、完成は20世紀になっていますし、編集責任者もマレー博士だけではないようですが、よくも70年も続けることができたなという気がします。