読みました
ロックで独立する方法(忌野清志郎)
新潮文庫の「ロックで独立する方法」(忌野清志郎)を読みました。
タイトルに引かれて買ったのですが、読み応えのある本です。2000年~2002年に雑誌インタビューの形であったものを、亡くなられた2009年に本の形でまとめたものを、今回文庫本にしたものとあります。
2009年に58歳で亡くなっているということです。10年以上前です。亡くなったときは大きなニュースにもなっていたように記憶しています。
個人的には「タイマーズ」のCDを持っていて、寮でよく聞いたという程度程度なのですが、相当に影響のある人だったなと思います。
この本は、インタビューであったり、独白であったりしますが、忌野清志郎さんの考え方がストレートに伝わる本です。
本の帯には、
自分の両腕だけで食べていこうって人が、そう簡単に反省しちゃいけない
本の裏表紙には、
「成功」ではなく「独立」。真の自由を手に入れるための、たったひとつの方法を、胸の奥で熱い炎を燃やす全ての人々に贈る。
とあります。
30年にわたるバンドマンとしての経験や考えを伝えようとしていたようです。
自身のことを「バンドマン」と定義し、「業界」からの独立、「バンド」からの独立などが順を追って書かれています。
一般に、「独立」という言葉からは、努力をして、自分に力をつけて、社会的にも経済的にも自由になるということは理解できますが、「ロック」という、そもそも自由なように思える世界でも、「独立」することは大変なんだなということが分かります。
凡庸な感想ですが、読んだ印象として、忌野清志郎さんは、頭が良い人、理知的な人で、基本的にはまじめな人なんだなぁというという印象です。
また、音楽ビジネスについての話が多いので、音楽業界に関心のある人には、面白い話が詰まっている感じです。
契約や権利についての言及も、時々出てきます。ここは、法律関係者も関心のあるところだろうと思いました。
バンドマンという世界での、仲間との関係は、本書をみて初めて知ったようなところがあります。
「生涯ロック・ミュージシャン」として生きて、「老衰で死んだロック・ミュージシャン」、「天寿を全うしたロックンローラー」はいないが、そうなりたいという話で終わっています。この時は、自らの死を予想していたとは思えません。
人生はそれほど長くないので、やりたいことはチャレンジすべきですね。