ライセンス料が出ている
2021年3月26日の日経に、フィリップスの家電事業の売却とブランドライセンスの記事がありました。
フィリップス、家電一部売却: 日本経済新聞 (nikkei.com)
- エアフライヤーやコーヒーマシンといった調理家電、空気清浄機などの家電事業を、中国の投資ファンドに売却
- 従業員は7000人超
- 2020年度の売上高は22億ユーロ
- 電気シェーバー、電動歯ブラシ、ヘアドライヤーは含まれない
- 売却額は、37億ユーロ(約4800億円)
- 別に、総額7億ユーロで15年間のフィリップスや製品ブランドをライセンスする契約を締結
- すでに、照明機器事業やデジタル家電事業は切り離している
とあります。
コメント
この情報から、ブランド使用料率を計算できそうです。
22億ユーロの年商があり、それが15年続くと仮定して、330億円の売り上げです。
それが、7億ユーロでライセンスされています。
単純計算で割り算をするとは、料率は2.12%となります。
1年に直すと、22億ユーロの売り上げで、0.4666億ユーロのブランド使用料ということになります。1ユーロが130円ですので、年間60億6,666万円のブランド使用料です。
家電というブランドが効く分野で、しかも世界的に認知が高いPhilipsブランドの価値としては、2.12%は安いという気もしますが、子会社へのラインセンス料に比べるとだいぶ高い気もします。まあ、妥当なところなんだろうと思います。
フィリップス側で商標権の保全や権利侵害対策などはするとしても、60億円のうち、数億円程度あれば相当なことができますので、50数億円はPhilipsの利益です。
特にリスクも取らずに年間50億円の利益が入ってくるのというのは、ビジネスとしてはありがたいものです。
さらに、家電製品が売れ続けると、Philpsブランドの認知度を維持できますので、高い広告費を支払ってブランド認知を維持する必要はありません。
フィリップスが現在特化しているのは診断機器などのヘルスケア事業ですが、こちらだけでは一般へのブランド認知が維持できません。
反対に家電はお店にあるだけで、特に広告をしなくもて、フィリップに、高いブランド認知をもたらすもので、この広告費換算効果は、相当あります。
直接のブランド使用料と、広告費換算効果(ヘルスケア事業で広告しなくても良い)がフィリップスの利益です。
ヘルスケア事業と家電事業では、ヘルスケアはBtoBで家電はBtoCというように需要者が異なりますが、ヘルスケア事業の購買者も家庭では家電んも購買者であり、包含関係にあります。
理屈はこういうことですが、中国企業に家電事業を譲渡して、従来同様の品質の製品を作り続け、ブランドイメージを維持することは大変です。
おそらく、フィリップスのブランドマネジメントや品質・環境の「監査」が、譲渡先には入ります。「監査」で、ブランドイメージを維持できるかです。
Philipsは勉強になります。