Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

「はつな弁理士法人」に転職しました②

cotoboxのシステムを使ってみて

先日、ある企業の知財部の方から、はつな弁理士法人とcotoboxの関係をよく質問されました。これを、説明しようと思います。

また、cotoboxについては、何よりそのシステムを理解することが重要です。cotoboxのシステムでは、特許事務所時代に感じていた、業務の無駄が相当改善されています。

 

<はつな弁理士法人とcotobox>

はつな弁理士法人の代表とcotobox株式会社のCEOが、同じ五味弁理士という共通点がありますが、基本的には別の法人であり、運営は別々です。

cotoboxのサービスを利用するユーザーが、cotoboxの提携事務所の一つとして「はつな弁理士法人」を商標出願の代理人として使用し、最終的に特許庁に出願するという関係になります。

 

<cotoboxのシステム>

cotoboxは、AIを使った商標検索というイメージがありますが、それは、実はユーザーをcotoboxを使っていただくための導入部分です。

より重要なことは、cotoboxは商標に特化したコミュニケーションツールであるという点と、商標管理システムでもあるという点です。

 

1.商標に特化したコミュニケーションのツールとしてのcotobox

cotoboxのユーザーは、商標の特定、指定商品の特定、出願に至るコミュニケーションや、出願した商標情報の連絡について、cotoboxのシステムを利用します。

事務所の弁理士がcotobox上で記載したコメントはcotobox経由でemail送信され、何らかの動きがあったことをお知らせします。ユーザーはcotoboxのウェブサイトを見て、必要な連絡を事務所に出してもらうことになります。

この意味で、cotoboxは、ユーザーと事務所宛てのemailソフトのような役割を果たしています。そして、その内容は、スレッド形式で全て記録されています。

 

WORDで書類を作り、PDF化して、emailで送るという、面倒な作業が必要ありません。業務効率が良いのが特徴です。従来のemailよりも、断然、作業がはかどります。

 

また、最近は企業内のワークフロー、事務所への依頼、知財管理データベースが、一つになったシステムもありますが、大企業の特許利用を中心に設計されているので、オーバースペックだったり、使いにくかったりします。

cotoboxのシステムでは、商標に特化しているため、ユーザーと事務所にとって最適化されており、ユーザーフレンドリーなシステムです。

 

2.商標管理システムとしてのcotobox

通常、特許事務所では、PATDATAやroot IPのような商標管理システム(知財管理システム)を使用します。一方、クライアントでも、同じようなシステムか、あるいは、エクセル表で商標管理(狭義の商標管理=期限管理など)をします。

 

通常は、emailでやり取りしたような内容を、紙ファイルでファイリングしたり、商標管理システムに入力・資料格納をする必要があります。

紙ファイリング・電子ファイリングや、商標管理システムでの期限管理等は、重要な作業なのですが、非常に面倒な作業です。cotoboxではコミュニケーションのツールと商標管理システムが一体化していますので、ユーザーも事務所も、業務効率が非常に良好です。

 

3.ユーザーと事務所が、一つのシステムを使うメリット

cotoboxを活用することで、クライアントも特許事務所も、共通の商標管理システムを使って、出願情報を共有することになりますので、双方とも、従来タイプの商標管理システムを使用することが不要になります。

 

①ユーザーのメリット(商標の書誌的情報の管理が不要に)

cotoboxの商標管理システムは、個人や中小企業といったユーザーにとっては、非常に大きなメリットです。

保有標数が数百件以上というような会社であれば、商標管理システムを導入しても良いかもしれませんが、数件/年しか商標がないような個人や中小企業では、どうしても、エクセル表管理となります。

一般に、大企業の知財部門でも特許事務所ほどの期限管理はできません。cotoboxをデータベースと考えると、ユーザー側は入力が不要ですし、安心です。

(多少の改善を加えれば、大企業でもcotoboxで十分と思いました。)

 

なお、国内については、特許庁のデータベースと同期をとっているので、書誌的情報は完全なものです。

 

②事務所のメリット(2重の入力作業問題について)

特許事務所では、コロナ禍以降、企業から、各企業の知財管理システムへの入力を依頼されることが多くなっていますが、事務所では、事務所の商標管理システムに入力と企業の商標管理システムへの入力という2重の入力作業が発生しています。

無償でこれを要望するクライアントが多いのですが、相当な手間がかかっており、事務所としては放置できない問題です。

もし、事務所の商標管理システムをcotoboxにし、ユーザーもcotoboxを使用すれば、2重の商標管理システムへの入力作業をせずにすませられます。

 

<まとめ>

cotoboxは、AIを使った商標検索システムと思っていましたが、実際は、商標業務に特化した、クライアントと事務所間の、優れたコミュニケーションツール(兼)商標管理システム(商標データベース)と考えた方が良いと思いました。

まだ、十分に使い込んでいないので、さらに良い面があるかもしれませんが、私個人の第一印象は、上記のようなものです。