特許庁 中小企業海外展開支援施策
いただいたパンフレットのキャッチコピーは「中小企業支援策 おしながき」です。
支援策がすし屋のおしながきのようにならんでいます。
https://www.jpo.go.jp/sesaku/pdf/pamph/pamph16_print.pdf
https://www.jpo.go.jp/sesaku/pdf/pamph/pamph16.pdf
パンフレットの表紙には、
- 知財総合支援窓口(電話 0570-082100で、全国共通ナビダイヤルで、全国47都道府県の近くの窓口につながるようです)
- 促進交付金と軽減措置
- 外国出願補助金
- 模倣対策支援補助金
- 冒認商標無効・取消係争支援補助金
- 防衛型侵害対策補助金
- 海外知財訴訟費用保険
- 日本発ビジネス化支援、などが並んでいます。
その他にも、パンフレットには、
- 地域団体商標の海外展開支援
- 外国相談室
- 海外知的財産プロデューサー
- 海外の知財制度等に関する情報収集ツール
- 中小企業商標先行登録調査・相談
- 海外の知財専門家の相談受付、などが並んでいます。至れり尽くせりです。
知人は、この中に外国相談室におられたようですが、この組織はなくなり、各地域(都道府県)の知財総合支援窓口が、その業務を引き継ぐそうです。
外国相談室には、商標の相談が多かったようです。相談にこられる中小企業はそれなりに技術力のある会社(メーカー)が多いということでした。当然、スタートアップのときに、商標権をとるようです。
しかし、特許は一生懸命にとられるのに、商標は無頓着だそうです。
次のような事例があると聞きました。
1.いざ海外に出願となるとき、マドプロ出願の基礎になる日本商標が、ローマ字と片仮名の二段併記であり、一からローマ字の出願が必要だった。
2.標準文字で権利があり、企業が成功するにつれ、実際の使用態様が全くちがうロゴになっているのに、出願されていなかったので、出願が必要だった。
3.当初の事業分野が広がっているのに、創業当時の指定商品・役務しか権利がなかった。
ただ、中小企業の仕事は、相談を受ける方も面白いようです。大企業は、リスクマネジメントが徹底しており、中国の最高裁に訴訟をするなどほとんどありませんが、中小企業は積極果敢に攻めるようです。
コメント
相談窓口が中小企業の相談に乗るは良いと思います。
ただ、補助金というのは、昔はなかったものですし、特許と相性が悪いような気がして多少の違和感があります。特許は独占権による一攫千金の夢の世界であり、補助金と夢が原理的に合わないのです。手薄な海外支援で、商標中心というなら、何とか理解できます。
最近の中国の膨大な出願は補助金によるものと言われていますが、日本も補助金があるんだと思いました。予算は中国に比べたら少ないのだと思いますが。
上記の施策は特許庁系のものですが、東京都も東京都の会社に対して、別途、補助金などを出して、支援しているようです。他の道府県で、こんなことはしていないので、東京はお金があるんだなと思いました。
相談員の方が、大企業の特許部のように論点整理をしたうえで、弁理士・弁護士に相談となるようです。
アドバイザーに弁理士もいるようですが、弁理士会からの推薦だそうです。弁理士会の商標委員会などに入っていると推薦がもらえるのかもしれません。
ちなみに、外国相談室(外国産業財産権侵害対策支援事業)は、この10年は、発明推進協会が東京で行っていました。これが、全国47都道府県の知財支援窓口でできるのかは疑問なものがあります。
東京でまとめているからこそ、ノウハウが蓄積されたようなのではないかと思います。一次窓口はマニュアルがあればできるかもしれませんが、その後の業務を行う、弁護士・弁理士は、東京・大阪・名古屋は別として、その他の地域でできない可能性が高いと思います。
無理に地域の弁護士・弁理士にするよりは、東京・大阪・名古屋の弁護士・弁理士に委託するのが相談者である、中小企業のためになるのではないかと思いました。
もう一つ、地域団体商標の海外展開支援は、マーケティング、ブランディング、展示会出展の支援です。経産省は、ブランド戦略となるとすぐに特許庁の商標関係となりますが、日本の中小企業にブランディングを根付かせることは大事なことだと思います。こちらの方に、予算を使うべきと思いました。