ゴディバの日本事業の売却
日本事業だけ売却?
2018年9月27日の日経夕刊に、トルコの食品最大手のユルドゥズが、傘下のベルギーチョコレート会社ゴディバの日本事業の売却を検討しているという記事がありました。
内容としては、
- 売却額は、15億ドル(約1700億円)
- 日本事業の年間売上高は3億5000万ドル(約397億円)規模
- 優良ブランドをめぐる争奪戦に
- ユルドゥズは、多額の借り入れ。トルコのリラ安で外貨建て債務の負担増大
- 債務圧縮のためにゴディバの日本事業の売却を迫られた可能性
とあります。
コメント
Wikipediaを見ると、このトルコの会社に買収される前は、米キャンベル・スープがゴディバのオーナーだったようですが、経営戦略の違いがあるとして売却されたようです。
2007年12月21日のロイターの記事によると、スープ、スナック、野菜飲料などキャンベル社の中核事業にゴディバはそぐわないとあります。
そのため、キャンベル社から、トルコ企業に売却されていたのようです。
まず、この日経の記事を見て思ったのは、なぜ、日本事業だけを売却するのか?という点です。
トルコのユルドゥズの債務圧縮には、全体の売却までは不要だったのかもしれません。
また、日本事業≒日本法人は、ゴディバの中でも優良会社であり、買い手が付きやすいのかもしれません。
日本では人気があり、安定した売り上げが期待できるでしょうから、買い手が多数出るということなのだと思います。
売却額をあげるためには、日本事業≒日本法人だけではなく、この日本における商標権ごと売却することも選択肢ではあります。
しかし、そうすると、日本のゴディバと海外のゴディバで、全く違く品質のゴディバが出てきて、ゴディバのブランドイメージの混乱が予想されます。また、商標使用料という安定した収益も魅力ですので、通常は、商標権は、トルコ企業の子会社のゴディバ・ベルギー法人が、ずっと保有し続けるのだ思います。
仮に、日本事業に日本の商標権が付いてきても、日本でしかゴディバ商標を活用できませんので、海外進出はできないということになります。
結局、日本のゴディバ事業は、ゴディバ・ベルギー社から商標のライセンスを受け、商標使用料を送金をし続けるのが通常だと思います。
一定のコントロールを受けることで、却ってブランドの価値が増す(ありがたみが出てくる)のかもしれません。しかし、その分、企業の利益は圧縮されます。
それでも、争奪線が予想されるというのは、余程、ゴディバのブランド価値は高いということなのかなと思います。
ただ、1700億円というのは、年間売上400億円と比較すると高いような気はします。仮に20%の利益があったとしても、年間80億円。1700億円の返済に、21年かかります。
現在のゴディバの事業規模を更に拡大するなら、アイスクリームなどにライセンス商品を出したり、コンビニ向けを強化したり、ということになりますが、そうすると、高級なブランドイメージの維持は難しくなります。
高級イメージを維持しつつ、事業規模を拡大するのは、若い企業では出来ると思いますが、ある程度の歴史のある企業では難しい感じがします。
日本事業の買収者は、どのような戦略を立てるのかなぁと思います。
2014年までは、百貨店事業は片岡物産が運営していたのが、契約終了となり、直営になっているとあります。
ゴディバ、日本店舗を直営に 片岡物産との契約終了 :日本経済新聞
片岡物産も、買収をする候補なのでしょうが、高そうですので、手を出さないのではないかと思います。
海外までセットなら、日本の大手の菓子メーカーが候補になりますが、日本だけとなると、どうなんでしょうか。
面倒な話が延々と続くような気がします。