ロゴのチカラ
2019年5月3日の日経に、就職用の企業紹介として、ロゴが沢山掲載された2頁広告がありました。それとセットで、グラムコの山田敦郎さんの談話がありました。これ自体、1頁ものです。
その中で、ブランド論の変遷や、ロゴの役割をについて、説明があり、参考になるなと思いました。
1.コーポレートブランドの変化
(1)かつては、ブランディングは、マーケティングの一手法。企業のアイデンティティを規定して、それを市場に伝えるのが役割(企業発のコミュニケーション型)
(2)1990年代後半から、経営をブランドが牽引するコーポレートブランド経営が盛んに。ブランドが企業資産の一部で、企業文化と結びつくものと考えた
(3)2000年代中ごろからは、ブランドは顧客などのステークホルダーと共に作る「価値共創型」に
(1)プロセスとしては、
①リサーチ
②ブランドコンセプト作り(目的、独自の提供価値、パーソナリティ)
③ブランドの記述、可視化、ブランドスローガン、ブランドメッセージ
(2)それらを凝縮したのが、ロゴマーク
最近、従業員や企業トップのブランドへの理解を促すインターナルブランディングに関心。企業ブランドは、従業員の振る舞いで変わる。
4.環境変化とロゴマーク
産業の変化に従い、ロゴマークも変化するが当然。変化しない企業は、ロゴマークとともに、衰退する
5.日本のロゴマークの傾向
威圧的なものから、共創的なものに。シンプル、覚えやすいものに。カラーは、赤から青へ、そして緑へ。
スマホ対応で、小さい画面でもハッキリ見えるロゴ=シンプルに
6.企業文化や個性を表現するロゴマーク
企業文化や個性をロゴで表現すべき。海外進出時などに検討してはどうか
コメント
そうだなと思うお話しでした。
特に、ロゴの変化なのですが、日本の企業は1970年代に決めたロゴをそのまま使っていることが多いように思います。
SONYロゴは、1973年以来、変更がありません。42年間変化なしです。
Sony Japan | Sony History 第23章 「SONYブランド」の出発
Panasonicは、1971年のものが、まだ使われています。国内のPanasonic導入が1988年なので、国内の人は30年という感覚ですが、海外の人は48年同じロゴを見ていることになります。
ブランドの歴史 - ブランド - 企業情報 - Panasonic
トヨタは、1989年です。SONYやPanasonicほどではないですが、それでも30年経っています。
トヨタ企業サイト|トヨタ自動車75年史|車両系統図|【豆知識】登録商標の変遷
一方、花王は、時々変更しているようです。
花王は、「知っておきたい特許法」でも紹介されていたので、ロゴの変遷で有名ですが、1953年、1985年、2009年と最近も変えています。10年です。
Bridgestoneもロゴ変更の優等生です。
News | Corporate | Bridgestone Corporation
海外では、Philipsなど、5年サイクルで、プロでもわからない程度の変更・修正を、コツコツとやっています。30年経つと、だいぶ変化しています。
Brand New: New Logo and Identity by and for Philips
ネスレも10年スパンで変更しているようです。
https://www.nestle.com/aboutus/history/logo-evolution
コツコツ変更することで、違和感を抑えつつ、時代に合ったものにすることができます。
ブランドロゴ変更するときは、企業が伸びているか、変化しているときでもあります。ロゴ変更しなくなったら、企業の成長がストップすると言っても良いと思います。
ブランドロゴ変更は、商標担当者にとっても、またとないチャンスです。
商標権は、更新ができますので、一旦、登録をとると、商品やサービスが多少変化しても、昔の登録のままで、少し商品やサービスの抜け漏れがあっても、我慢しているときが多いと思います。
ブランドロゴ変更があるときは、大手を振って、最新の商品、サービスで、商標出願できます。
ブランドロゴ変更。どんどんやっていくべきと思います。経産省も政策として、日本企業のロゴの変更を打ち出しても良いのではないかと思います。まずは、研究会をスタートしてはどうでしょうか?