MAZDAを強化する
2019年7月4日の産経ニュース(電子版)に、マツダが車名を、MAZDAと数字に統一するという記事がありました。
マツダが車名を一新へ 「MAZDA」と数字で統一 ブランド強化 知名度まだまだ - 産経ニュース
- マツダが国内向けの車名を変更
- 海外で使用している英数字を組み合わせた名称に統一する
- 英数字の車名を基本とするのは、日本の自動車メーカーでは初めて
- セダン系の「MAZDA」シリーズとクロスオーバー系の「CX」シリーズに統一
- 「アテンザ」を「MAZDA6」
- 「アクセラ」を「MAZDA3」
- 「デミオ」についても「MAZDA2」
- 「ロードスター」は、「国内のみの愛称であり、ある意味財産なので残していく」(例外扱い)
- 車名に愛着をもつオーナーたちの意向にも配慮
- このブランド戦略は、企業名と一体とすることでブランドをより鮮明にし、強化していく狙い
- 独自技術群である「SKYACTIV」や「魂動デザイン」で国内でもブランド力を高めてきた
- 同社にとって2019年度は、創立100周年(20年1月)を迎える節目
- 新型マツダ3など新世代商品群の投入を機に、国内向けの車名を刷新し、ブランド力の一層の強化につなげていく構え
コメント
グローバル商品、特に自動車では、ブランド名+アルファベットや数字、の組合せは、商品名を作るときに良くあります。
BMWの1~7のSeriesや、Mercedes BenzのA-E Classなども、同じです。TeslaのModel 3、Model S、Model Xも、同じ系統です。
車の世界では、一般的な方法ですが、これまで日本では、独自の車名に拘ってきました。
トヨタでいうとカローラから始まって、コロナに乗り換えて、クラウンに乗り換えるというような車のアップグレード推奨戦術があったためだと思います。
また、一つの車メーカーが複数のデーラー網を持っていたので、基本は同じ車なのに、少しデザインを変えて、違う車名をつけることも一般的でした。
これは、国内市場の売り上げのためのネーミング戦略、ブランド戦略です。
しかし、車メーカーにとっては、国内の市場規模は大きなもののではく、海外の方が重要です。マツダのグローバル販売台数は、156.1万台で、日本は21.5万台とあります。圧倒的に海外比率が高いようです。
ここまでくれば、海外の車名に合わせた方が、コンセプトを伝えるにしても、販促ツールを共用するにしても、圧倒的に有利です。海外と同じ名前(グローバルネーミング)にすべきです。
グローバルネーミングにするとして、車種ごとに独自の名称を付ける方法はあるのですが、もう一つの方法が、この品番的商標です。
マスターブランド自体が、個性を持っている場合は、独自のネーミングを出すと、マスターブランドの個性と、サブブランドの車名の個性が混ざってしまいます。
欧州のBMWや、Mercedesが品番的なネーミングにする大きな理由は、これだと思います。できるだけマスターブランドの個性を生かすことが、有利という戦略に基づいています。
デミオですが、将来、MAZDAブランドが強化され、BMWのようなブランド力を得たときは、無くなるのかもしれないなと思いました。
この場合、他社との差別化は、技術ブランディングの「SKYACTIVE」や、デザイン原器を使った「魂動デザイン」などの技術ランディングが重要になりそうです。
マツダの「魂動デザイン」とは一体なに? 好評なマツダデザインの根幹に迫ります - newcars.jp(ニューカーズ)
もし、独自のネーミングをつけるとすると、
まず、ネーミングの問題があります。アテンザ、アクセラ、デミオとあって、これらが、海外で意味的に、好意的に捉えられるのかが、まず、問題です。グローバルに適したネーミングにできるかどうかです。ここは、インターブランドなどに頼るべきところです。
次に、商標権です。アテンザ、アクセラ、デミオが、第三者の既存の商標権に抵触して、使えない国がある可能性は高いと思います。これが得意な特許事務所、法律事務所を活用するという方法です。
使えない国は、使わないという方法もありますが、車種のコンセプトも国毎に考えないといけませんし、カタログも大幅に作り直す必要がありますし、当該国の売上減につながる要因が沢山あります。
結論、勢い、識別性のない、数字などになります。グローバル企業としては、正しい選択ということではないでしょうか。
ただ、1-7のSeriesや、A-EのClassや、Model〇〇も、ちょっとは違いがありますので、どのようなシステムを採用するか、検討が必要です。
また、海外では、英文字1文字でも商標登録されていることがあり、また、数字3文字も商標登録されていることがあります。同業他社を良く見て、それらと少し差別化する必要があります。
最近、ここでの商標の戦いが多くなっているような気はします。