Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

パンダの名前の選定

8つに絞る

2017年8月31日の朝日新聞の夕刊に、上野動物園のパンダの名前を8つに絞ったという記事がありました。

www.asahi.com

公募で寄せられた32万件から8点に絞り込んだと東京都が発表したというニュースです。

  • 名前は、所有権を持つ中国との協議などを経て都が決める
  • 生後100日を迎える9月下旬をめどに発表
  • 日本パンダ保護協会会長の黒柳徹子さんなど6名が選考委員
  • 応募の多かった上位100点から協議
  • 8点は非公表
  • 理由は、「名前が先に出ると、先に商標登録される恐れがある」から

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興味を持ったのは、①公募した名前の選考方法、②8点の発表という点と、③商標登録のところです。

 

公募して、32万件も集まると、事務局としてはどのように処理しようかと頭を抱えてしまいます。

上位100点に絞るだけでも大仕事です。人海戦術で、称呼をエクセル?に入力して、まとめるのでしょうか?

32万件もPCのエクセルでは耐えられませんよね。

何か良いソフトやサービスがあるのでしょうか?

 

次に、8点という点ですが、記事では(パンダの)所有権が中国にあるので、中国との協議が必要なためとありますが、

テレビの情報番組などでは、パンダの名前は中国が一元管理しているためと言っていました。

日本名と中国名が違うことがあるようですが、中国のパンダ名の登録機関は、双方を管理しているのでしょうか?

今回の赤ちゃんの親の上野公園のパンダの名前ですが、雄のリーリー(力力)の中国名はビーリー比力)といい、雌のシンシン(真真)の中国名はシェイエンニュ(仙女)というようです。ビーリーは連想する意味は別として、発音は可能ですが、シェイエンニュは日本人には言い難い名前ですね。 

nishiny.hatenablog.com

 

最後は、商標登録です。確かに最近、なんでも商標出願する人が多いので、言えないのは分かりますが、少し寂しい感じもします。

映画に登場するキャラクターの名称(例えば、「ミニオンズ」なら、映画会社は商標登録することがありますが、動物の名前は本来は商売の道具ではないので、商標登録には、違和感があります。

 

ただ、目端の利く業者が、例えばお菓子に登録してしまい、後から別の業者がお菓子に名称をつけたいと思ってもつけられないということは考えられます。

しかし、上野公園や東京都が、赤ちゃんパンダの名前をつけたお菓子やTシャツやキャラクターグッズを販売したり、キャラクターライセンスするということまではしないと思います。

放置しておくのも、方策だったかもしれません。少なくとも、8点中、7件は採用されないのですし。

 

 

インハウス弁護士

10年で10倍(1931名)

2017年8月21日の日経にインハウス弁護士の記事がありました。コーポレートガバナンスだではなく、企業内で新規事業を立ち上げる際に活躍しているとあります。

www.nikkei.com

インハウス弁護士の任意団体の日本組織内弁護士協会によると、今年6月末で、937社、1931人のインハウス弁護士がおり、2007年の104社で188人と比べて、10年で10倍ということです。

銀行、商社が多く、三井住友銀行20名、三菱商事20名とあります。また、ITも多く、ヤフーが28名とあります。

最近、司法試験の合格者減り、2014年からは2000名を割り込んでおり、2016年は1583名に織り込んでおり、法律事務所の需要(1400名~1700名)、裁判官や検察官を入れると不足ぎみとあります。

また、インハウスになる方は、社会人経験者が多いという記載もあります。

 

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毎年、150人程度(合格者の1割程度)が、企業勤務の弁護士になっているということのようです。合格者に比べて、その1割ですね。もう少し、企業内弁護士が増えてもも良いように思います。

 

ロースクールも、そろそろ、底が見えてきたので、ある意味ねらい目です。社会人で行きたい人はいけば良いように思います。

 

法律事務所も、事務所の方針で、ボス弁のいる昔ながらの事務所、企業に近いような事務所、競争の激しい欧米流の事務所まで色々なところがあります。

ボスの個性が強すぎる、あるいは、競争が激しすぎる事務所よりは、企業の方が時間的にも、金銭的にも安定しているとは思います。特に、子育て世代への支援など、進んでいるかもしれません。

 

企業の人事は、有資格者を雇う方が、当たり外れ少ないと見ているようです。

 

企業内の弁護士は、弁護士である前に社員という点があり、弁護士といえども、会社員です。

社員であるから自分の専門に閉じこもらずに仕事ができるという面があり、ビジネス能力は磨かれると思いますが、反対にいうと法律的な専門性は伸ばしにくいと思います。

 

一般論として、アメリカなどでは、企業弁護士はワンランク下の存在に見られていると聞いたことがあります。やはり、弁護士たるもの、訴訟(litiation)をするlitigatorやBarristerが偉いという考え方です。

しかし、アメリカの事務所でも、litigatorは少数で、実際は契約書を作ったり、相談にのったりするSolicitor的な人が沢山います。そのようなSolicitor的な仕事なら、企業の法務部の仕事とあまり変わらないといえます。

日本の弁護士は、全員、法廷で代理人活動をする前提なのですが、その前提を修正する必要があると思います。

 

28年前に以前の会社に新入社員で入ったときに、弁護士さんの中途入社があり、当時、企業内弁護士は非常に珍しかったと記憶しています。

その方は35歳と若かったのですが部長待遇で来られていました。すでに実務経験もあり、仕事のできる方だったと記憶しています。当時、23歳で弁理士の私は新入社員(平社員)からのスタート(まだ知財の仕事はやったことがない状態)で、同じ3%の合格率の有資格者なのに、これはだいぶ差があるなと思ったことがあります。

当時、言われていたのは、弁護士は社会正義のために存在するのであり、そのため国選弁護人なども受任する必要がある。企業では、その自由がないので、弁護士が企業に就職するのはNGというのが、弁護士会などの論理でした。このあたりも重要と思いますが、どうなっているのでしょうか。

住友ゴムとDUNLOP

ダンロップスポーツを吸収合併

2017年8月30日の日経に、住友ゴムが上場子会社のダンロップスポーツを吸収合併するという記事がありました。

www.nikkei.com

記事によると、

  • ゴルフやテニス用品を手がける上場子会社ダンロップスポーツを2018年1月に吸収合併
  • ダンロップスポーツは12月27日付で上場廃止
  • 住友ゴムは「ダンロップ」ブランドのスポーツ用品や日用品の世界の商標権を英社から4月に取得
  • 今回、商標権を持つグループ会社のダンロップインターナショナルも吸収合併して、スポーツ事業を本体に統合
  • ゴルフやテニス用品でダンロップブランドを世界中で使用できるようになった
  • 住友ゴムは15年に米タイヤ大手のグッドイヤーとの提携を解消
  • ダンロップブランドのタイヤを国内やアジアなどで販売
  • スポーツ用品を通じて伝統ブランド「ダンロップ」のイメージを高め、タイヤ販売にもつなげたい考え。

記者会見もあったようです。

www.nikkei.com

  • スポーツ用品の「ダンロップ」ブランドの使用は日本や韓国などに限られていたが、4月に全世界での商標権を取得。合併で海外事業を拡大
  • タイヤ市場は今後も伸びる見通しだが、新興国ダンロップのブランド力は低い
  • 「ブランドを最大限に活用するには、経営資源をスポーツ事業に投資することが必要」
  • 「スポーツ用品との相乗効果でタイヤのブランド価値を上げたい」と話した
  • 「ブランド価値向上でタイヤ事業の発展につなげる」(かぎ括弧は社長談)

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住友ゴムと英ダンロップ、現在の英ダンロップの親会社のグッドイヤーの関係は、分かりにくいのですが、Wikipediaにまとめて書かれているように思います。

ダンロップ - Wikipedia

詳しくはこちらを見てください。

 

J-plat patによると、日本やアジアの「タイヤ」の商標権は、住友ゴムが権利者のようです。海外のタイヤの商標権も、アジアなどは、住友ゴムが権利者になって来ているようです。

 

タイヤがメインの重要な商品ですが、DUNLOPで展開できるのは、日本、アジア、ロシアで、欧米はグッドイヤーがDUNLOPで展開しているようです。グッドイヤー傘下の英ダンロップ・インターナショナルという会社が、商標権を持っているようです。

 

一方、スポーツ用品は、上場会社の日ダンロップ・インターナショナルが持っているようですので、今回の吸収合併により、完全に、日本の住友ゴムに商標権が移り、スポーツ用品については、住友ゴムが、DUNLOPのオーナーの地位につきます。

今後、新興国では、タイヤの売りが期待されるのですが、DUNLOPブランドの認知は今一つという面があるようで、そこを切り開く先兵として、スポーツ用品のDUNLOPを強化するというのが、今回のストーリーのようです。

 

筋は通っていますね。アジアやロシアといった新興国で、まず、スポーツ用品で認知を得て、タイヤを売るということですね。グッドイヤーのDUNLOP事業が上手くいくかどうかですが、将来は、買収のチャンスはあると思います。

逆説的ですが一つぐらい目の上のたんこぶがある方が、一病息災という面があるかもしれません。

 

将来、もし仮にですが、DUNLOPをグッドイヤー側から買収できたとして、住友ゴムの社名をとるのか、ダンロップにシフトするかですが、通常のブランド論ならダンロップとなりますが、住友の金看板は捨てられないのでしょうね。

カジノと芸術劇場

横浜市・林市長「メリット」が説明できない

2017年8月30日の日経に、横浜市の林市長がカジノと芸術劇場について話をしているインタビュー記事がありました。

www.nikkei.com

インタービュー記事から、林市長の発言を引用します。

選挙中からIRに関してはニュートラル(中立)だと言ってきた。ニュートラルというのは賛成派と反対派の間に立っている意味ではない。私自身がメリットとデメリットを整理しきれていない。横浜市は政府との話し合いなどを進めているが、市民にメリットをまだ完全に説明しきれていない。

市としてのメリットとデメリットをはっきりさせたい。デメリットはすごく分かりやすいが、メリットがまだ私の中で腑に落ちていない。メリットとデメリットを整理するにはまだ時間が必要だ。 

 

政府も有識者会議や住民参加の公聴会をやっている段階で「こういうメリットがある」という考え方をはっきり出していない。IRは明確になっていないところが多く、今の状況ではスケジュール通りに(IR整備に)動くか疑問がある。

 

一方、芸術劇場については、非常に積極的です。これについては、タウンニュースの記事が分かりやすいと思います。

www.townnews.co.jp

 

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7月の横浜市長選挙の争点は、カジノ賛成派と目されていた林市長がニュートラルと言い出したので争点にならず、結局、最大の争点が、中学の給食でした。「お弁当持参orはまべん」を続けるか、学校給食に変更するか?というものです。現状維持の林市長が勝ったので、横浜の中学生は、当面、「お弁当orはまべん」です。

 

本来、カジノの賛成、反対で喧々諤々やれば、横浜をどうしたいのかの、良い議論になるところでした。都市のあり方をどうするの議論は、都市のブランディングの議論ともいえ、国際、文化、観光、研究開発、芸術、娯楽、住宅地など、横浜をどの方向にもっていくか?など、議論があれば良かったのですが、その辺は議論になっていません。

 

カジノは、シンガポールの成功で、経済効果が高いとされていますが、国政で決めきれていないので、まだまだ時間がかかりそうです。林市長からすれば、あえて不利な論点を、論定に設定しなかったというのはあります。

 

今回の記事で、林市長は、カジノのデメリットは説明できるが、メリットが腑に落ちておらず、市民に説明できないとしてます。そのメリットの具体的イメージは文面から明確ではありません。

 

一般には、市の税収アップ、市のホテルや観光産業の活性化、というところがメリットなだと思います。説明しやすいように思いますが、これが説明できないというのは、どういうことなのかと思います。

 

横浜は、東京に非常に近いので、横浜でカジノで楽しんで宿泊は東京(奈良観光はするが、宿泊は京都や大阪という関係)とか、観光は東京、日光、箱根、伊豆になる(横浜中華街は、最大の顧客の中国人の興味を引かない?)などと、確かに思ったほどの経済効果がないのかもしれません。

 

また、日本に一つか二つならまだしも、何か所もできると、共倒れになる可能性もあります(ロースクールの乱立で、司法試験の合格率が下がり、ロースクールの人気が無くなった関係)。特に、カジノがお台場に出来るのなら、今の横浜では、負けそうです。

 

そもそも、日本には、すでに公営ギャンブルや、パチンコ店などが多く、ギャンブル天国で、これ以上のギャンブル需要はないという見方もあります。

 

当初は林市長は賛成派だったと思いますが、住民はだいたい反対派です。林市長は、選挙のためか、ニュートラルとなり、選挙が終わってもニュートラルと言い続けています。

市長の態度は、なんとも分かりにくいのですが、未成熟な議論にはすこし距離を置き、また、新しく芸術劇場という新たな玉を投げて、少しでも実をとろうとするところなど、市長としては相当に大人の対応だと思いました。 

無印とカインズの棚

東京地裁で販売差止の判決

2017年9月1日の読売新聞のWeb版に、カインズが無印良品の棚と酷似した棚を販売したとして、販売を差し止める判決があったとの記事がありました。

www.yomiuri.co.jp

記事によると、次のような内容です。

  • 東京地裁が、カインズに、棚の販売差し止めと商品の廃棄を命じる判決
  • 無印良品」を展開する良品計画が、ホームセンター大手のカインズに販売差し止めなどを求めた訴訟
  • 自社製品と形状が酷似した棚を販売され、営業上の利益を侵害された
  • 「両社の棚の形はほぼ同じで、消費者が商品を混同する恐れがある」(柴田義明裁判長)
  • 良品計画は1997年、「ユニットシェルフ」の名称で組み立て式の棚の販売を開始
  • 直径6、7ミリの金属棒を2本ずつ四隅に配置したシンプルな構造が特徴
  • 2015年までに約114億円を売り上げた
  • カインズは13年から問題とされた棚を販売
  • 判決は、良品計画の棚について「シンプルですっきりした印象の外観で、同種商品と区別できる顕著な特徴がある」と指摘
  • 裁判で、カインズ側は「棚はありふれた形で、他社にも同種商品がある」と主張
  • 「納得していない。内容を精査して対応を検討する」(カインズの話)

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知財判例検索には、まだ掲載されていません。また、カインズは控訴する感じです。

記事の写真を見る限り、デザインは酷似しています。この無印の棚を知りませんでしたが、確かに、4つの脚のデザインが特徴的です。

 

判決を読んでないので、以下は私が勝手に考えたことです(中途半端で、すみません)。

 

本件、素直に考えると次のようになります。

  • 消費者は無印あるいはカインズで棚を買ったのであって、無印で売っている棚とカインズで売っている棚で、商品の出所を間違えることがない。
  • 意匠権実用新案権の侵害になっているならダメだが、今回は産業財産権がない
  • 不正競争防止法のデッドコピー規定違反でもない
  • 自由競争として許容される範囲であり、カインズに分があるのではないか?

 

一方、無印良品知財管理の立場からすると、次のようになります。

  • 意匠を取っておけばよかった
  • 当初、人気商品になるとは思っておらず、意匠権を取らずに販売してしまったので、事件が起こったときには、すでに新規性がなく、今更意匠権は取れない
  • 一方、デッドコピーは3年の制限があるので使えない
  • 不正競争防止法の2条1項1号の混同惹起行為でなんとかいけないか?

 

判例を見ていないので、もしかすると、今回は、消費者が、カインズの棚は、あの有名な無印の棚を仕入れて販売していると勘違いし、実はカインズが無印とは独ルートで製造販売している別の商品だったという、典型的な混同惹起行為の可能性もあります。

その場合、消費者が商品の主体を混同していますので、通常の混同(狭義の混同)になり、カインズが敗訴するという素直なケースと言えます。

 

一方、消費者がカインズの棚はカインズの独自商品と認識していたが、両者に何らかの関係があると認識してしまう、広義の混同の状態にあったのかもしれません。

カインズの棚を見た消費者は、その商品の周知性(広く知られている)から、無印良品と何らかの関係がある(意匠権ライセンスやデザイン監修などを受けている)と思うというものです。一般に、無印の棚が、周知を超えて、著名になっているとき、広義の混同があり得ます。

 

企業の実務家の視点ですが、無印にとって、裁判所が、特に広義の混同を認定してくれるのは、結果として、意匠権がなくても対応できたという良い面がありますが、それにより意匠出願をする必要がないということを誘発する面があります。

 

無印が、本当の意味でのSPA(製造小売)となるのであれば、このぐらいの売り上げ規模があるのに、意匠出願をしないというのは、企業の知財管理から見れば問題です。

 

デッドコピーの3年限定を入れた法の趣旨と、意匠出願を奨励する趣旨からは、広義の混同は伝家の宝刀として余程の著名の場合にのみ適用し、この程度のものは、助けないという立場もありえるように思います。

意匠出願しなかったということは、自らがパブリックドメインにしたという考え方です。意匠出願して、不幸にして新規性なしとなった場合も、少なくとも権利取得の意思があったことは認められます。

 

意匠出願していない人気商品を探して、3年を超えるまで待ち、デッドコピーすることを推奨している訳ではないのですが、商標の場合は、ネーミング使うのに、商標出願しないことは、まずないのに対して、意匠制度の場合は活用しない業界が多いので、こんな感じになるのではないかと思います。

中国の企業名(商号)の新規則

「大和」「大東亜」は禁止

2017年9月1日の読売新聞に中国の企業名称(会社名、商号)のルール変更の記事がありました。禁止事項があるようで、今後設立する会社には、「大和」「大東亜」「支那」などが使えないようです。

toyokeizai.net

次のような内容です。

  • 中国政府が企業の設立時に登記する名称について新ルールを公表
  • 新ルールでは「国や公共の利益を損なう文字を含む」企業名を禁止
  • 「大和」「大東亜」「支那」などを例示して禁止
  • 大和証券大和ハウス工業など「大和」の文字を含む企業も、中国で活動
  • 中国人弁護士は、すでに登記済みの企業には、新ルールは適用されないと解説
  • しかし、同様の名称で関連会社を新設する場合などに問題が生じる可能性

 

  • また、新ルールは、すでに登記されている企業名に似た名称の新規登録も禁止
  • 知名度が高い日系企業が、無関係の中国企業に類似した社名を後から登録されるケースがあった
  • 新ルールは日系企業の権益保護に役立つとの期待もある。

 

  • なお、企業名には中国標準の漢字(簡体字)を使うことを義務付け
  • アルファベットなど外国の文字やアラビア数字の使用を禁止

 

この記事の関連記事は、JETROにもありました。

企業名称の登記に新規定、禁止・制限事項が明確に | 世界のビジネスニュース(通商弘報) - ジェトロ

  • 名称トラブル解決手段になる
  • ピンインも排除できる
  • 企業名のデータベースができる

などとしています。下記の中国のルールへの言及はあるのですが、如何せん中国語で読めませんでした。なぜか、グーグル翻訳もできませんでした。

 

商標と商号の衝突に着目したものですが、現時点の中国の商号のルールを解説したものに、次があります。 

(中国)商号と商標との関係 « 新興国等知財情報データバンク 公式サイト

 

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JETROの記事にありますが、企業名称禁止・制限規則が重要なのでしょうか。どこが変わったか、はっきりは分かりませんが、すこし厳しくなっているのだと思います。

  • 同一の登記主管機関で既に登記・登録されている企業名称や審査・承認された同業種の企業名称と類似してはならないこと(第15条)
  • 企業名に別の企業の名称が含まれてはならないこと(第17条)
  • 工商総局が認定した著名商標を同業種の企業名に使用してはならないこと(第27条)

なお、大和証券大和ハウスは、影響を受けそうです。すでに、ほとんど使われていない大東亜、支那にくべると、大和は問題になりそうです。

戦艦大和のイメージがあるのかもしれませんが、そもそも大和は日本の別名でもありますし、地域として奈良のことを指します。戦艦大和の場合も、地域名から来ているだけ、もともとはそれ以上の意味はありません。

  • ちなみに、先日、ネーミングの岩永嘉弘さんに聞いた話では、日本の戦艦のネーミングは体系だっており、名前を聞いただけで、その船の役割が分かるようにしてあったと聞きました。戦艦には旧国名を、巡洋艦は山の名前を記載するとしていたようです。 そもそもは、現場の符牒としての意味ですね。

nishiny.hatenablog.com

 

個人的に、一番、気になったのは、アルファベットの使用禁止です。株式会社SUBARUというように、現在の日本ではアルファベットが使えます。実は、中国もそうなってほしいと思っていました。

今までも、基本、使えなかったと思いますが、漢字の国のハードルはなかなか高いですね。(TCLなど、アルファベットで登記できていると聞きました。)

デジタル時代の小売業(番外編)

ドンキ・ホーテがユニーに40%出資

2017年8月25日の朝日新聞に、ドン・キホーテが、ユニー・ファミリーマートホールディングス傘下のユニーに40%出資するという話が出ていました。

digital.asahi.com

総合スーパーの2階以上の売り場で何を売るかが課題であり、ドンキは雑貨や日用品に強く、相乗効果が期待できるとしています(ユニー・ファミマの高柳社長)。

ユニーの役員の4割が、ドンキ出身者になるようです。

 

朝日と日経のちゃんぽんになりますが、具体的には、次のような施策があるようです。

  • アピタピアゴの売り上げ低迷店舗にドン・キホーテが入る(まず6店舗)
  • ユニーの閉鎖予定店舗をドンキに移管し生鮮食品を扱う「メガ・ドンキ」風に
  • 一部のドンキにコンビニのファミマを誘致
  • 商品の共同開発、物流の合理化
  • ポイントサービスの共通化を検討

小売業界では、業界の垣根を超えた競争が始まっており、ネット通販のアマゾンなどの台頭も拍車をかけているとの認識(ドンキの大原社長)ということです。

 

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ドンキ・ホーテが元気というのは知っていましたが、ユニーに出資するほどだとは知りませんでした。2017年8月25日の日経によると、売上高は、ユニー・ファミマHDが、8949億円、ドンキホーテHDが8287億円で、同じレベルです。

ファミリーマートの店舗数が17969店、ユニーが201店。一方のドンキは370店ということです。

 

 

ドンキの強さの秘密は、次の記事に、分かりやすく解説してありました。

toyokeizai.net

 

  • 現場への権限委譲
  • 廃番品の販売
  • 圧縮陳列
  • 手書きポップ
  • 迷路のような店づくり
  • お客様第一
  • 夜の活用
  • アミューズメント性

などが特徴のようです。

最近の社長の対談記事でも、ほぼ同じことを言っています。

  • 新・原始商取引(電子商取引ではなく)
  • 顧客最優先主義

special.nikkeibp.co.jp

ドンキにはネット通販と違う、「買い物をする楽しさ」があるようです。アジアのナイトマーケットのような感じです。デートコースになっていたり、飲み会の後にちょっと寄るなど、利用方法も多岐にわたります。

 

私の知っているドンキも地域毎に全く違う店舗です。横浜西口店は夜のアミューズメントで、ここまで売るかという商品を売っていました。神奈川県の自動車試験場のある二俣川店は、普通の総合スーパーです。大阪門真の以前勤務していた会社の前にあるのはディスカウント店です。見事に地域で最適化しています。

 

表面的に考えると、同じ看板で中身が違うのは通常はNGです。商標制度やブランド論では、同じ商標(看板・ブランド)の店舗では、同じ質のサービスの提供が受けられるというのが原則です。

お客様第一の徹底、アミューズメント性の追求、安さの追求などで、結果として驚きを提供するなど、少し抽象度の高いレベルで、同じ質のサービスということなのだとおもいます。

 

同じように現場への委譲が進んでいるビレッジ・バンガードに近いものがあると思いました。