Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

著名人のサインの偽物

ネット出品を摘発

2018年5月7日の日経夕刊に、将棋の藤井聡太六段のサインをまねた偽物がネットで出品されており、詐欺事件として逮捕したという記事がありました。

www.nikkei.com

  • 愛知県警が将棋の藤井聡太六段のサインの偽物をインターネットで販売したとして、東京都文京区の女を詐欺容疑で逮捕
  • 名古屋地検が、詐欺罪で起訴
  • ネット上で見たものをまねた。小遣い稼ぎのつもりだったと供述
  • 県警が、藤井六段本人に真贋確認
  • 岡山県警は、新海誠監督の偽の色紙を出品したとして、男を逮捕
  • 警視庁大崎署は、タレントのサイン入り写真を出品したとして、男を逮捕
  • メルカリは、目視とAIの活用で盗品や偽物の出品を監視

コメント

著名人のサインの偽物は、昔からあるのだと思いますが、ネット上のフリマアプリやオークションで簡単に販売ができるようになったので、被害が出ているようです。

 

今回、愛知県警は、藤井六段本人に確認したとあり、真贋判定をしています。本人が見れば、筆跡などまったく違うで、一目瞭然なのだと思いますが、真贋鑑定も度々依頼されるとなると、将棋に支障がでないのかと心配しました。

 

大学教授のコメントに、サインの偽物は、紙とペンがあれば簡単に出品でき、偽ブランド品にくらべて偽造のハードルが低いあります。そうだと思います。

 

引っかからないようにするには、信頼のおけるところから買うしかないと思いますが、藤井六段の師匠の、本物を転売することもやめて欲しいと言葉も、気持ちとしては分かります。藤井六段のサインは、そもそも、売り物ではないということですね。

 

これらの販売者に適用されるのは、詐欺罪ということです。商品の偽物は、商標権侵害が多いと思いますので、適用条文が違います。

 

商標法78条では、商標権侵害は、十年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金とあります。

刑法246条の詐欺罪では、人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処するとあります。

同じ刑期のようです。

 

サインの偽物を作成し、ネットで出品することは、簡単にできるので、軽い気持ちでやってしまうのでないかと思いますが、警視庁だけではなく、各県警も相談があれば動いているようです。また、メルカリでは、同一人物が複数出品したり、サインの出品数が多いとおかしいと考えるようです。

まずはサインの偽物は、捕まると思っておいた方が良いタイプの犯罪なのだと思います。

 

ちなみに、英語の話ですが、サインは、

  • signは、動詞で、「署名をすること」
  • signは、名詞では、「看板、標識、表示、兆し、記号」
  • 「署名」は、signature
  • 「有名人のサイン」は、autographというようです。

sign / signature / autographの違い | ネイティブと英語について話したこと

参考になりました。

 

 藤井六段が、サインを書く時は、signでよく、

書かれたサインは、autographですね。

 

 追加: 5月18日に、七段になられたようです。