1年ぐらいに長期化
特許庁のWebサイトに、2019年7月26日付で、商標の審査のファーストアクションの日数が掲載されていました。
10か月~14ヶ月という数字です。
- 化学:12ヶ月~14ヶ月
- 食品:11ヶ月~13ヶ月
- 機械:10ヶ月~12ヶ月
- 雑貨繊維:12ヶ月~14ヶ月
- 産業役務:11ヶ月~13ヶ月
- 一般役務:11ヶ月~13ヶ月
- 国際商標登録出願:12ヶ月~14ヶ月
という数字です。
コメント
商標の出願件数が多くなり、徐々に滞貨が増えてきて、FAが遅れてきているようです。
手元にある、特許行政年次報告書2018年版に、商標審査の平均FA期間の推移というグラフがあり、それを見ると、
2014年度 4.1ヶ月
2015年度 4.3ヶ月
2016年度 4.9ヶ月
2017年度 6.3ヶ月
となっています。
2019年年版の電子ブック版を見ると、
https://www.jpo.go.jp/resources/report/nenji/2019/ebook/html5.html#page=61
2018年度 7.9ヶ月となっています。
そして、ついに12ヶ月を超え来ているようです。
2014年度あたりの、4.1ヶ月など、今からすると夢のような数字です。
どうも商標審査の能力は、12万件あたりにあるようです。毎年、FAを出せている件数は、12万件にとどまります。
一方、出願件数は、2014年ぐらいまでは、12万件まで程度だったのが、
2015年 147,283件
2016年 161,859件
2017年 190,939件
となっています。
各年で、12万件を超えた部分が、対価になります。
このため、審査実務の外注化できる部分を、外注化するという話が進んでいるのだと思います。
昔、平成のはじめのころに、国内商標出願をしていたときは、2年程度はFAにかかっていましたので、今が、遅いという感じもないのですが、マドプロの時代になり、4か月の審査になれた人からすると、1年は遅いと思うかもしれません。
当時は、2~3年で終わるなら、商標調査だけやって、商標出願せずに使ってくださいと企業内では指導したのですが、そのことを思い出しました。
いわゆる登録主義が機能するのは、審査が半年以内の場合です。商標審査の結果がでるまで、一年以上も、企業活動を待ちの状態にすることはできません。
本当は、民間の調査や海外のオフィシャルサーチのように、2週間~1か月で、結論をだすべきです。
あるいは、完全な登録主義はあきらめて、使用主義的な要素を入れ込んだ制度に移行するかです。
FA期間は、マドプロの義務を超えた、商標制度運用の根本的な問題に直結するので、非常に重要です。
昔は、審査官から、優先権があるから、6ヶ月間は確定的な審査ができないなどと、よく聞きましたが、2014年度の4.1ヶ月などは、この優先権など、とうに追い抜いていたのですね。
早く、審査能力を上げる必要がありそうです。外注とAIですね。
インナーネット的に、特許事務所に業務委託すれば、一挙に解決できるのですが、さすがにそれはないようです。