メニューも商標か?
2019年10月8日のFoodistに、繁盛店のメニューについての記事がありました。
繁盛店の「メニュー名」を考察。注文数アップ、声掛けにもつながる名付け方は? | Foodist Media by 飲食店.COM
ネーミングは重要ですし、飲食店のメニューは売上を左右することもあるようです。
記事の事例を見てみると、
●メニューにキャッチコピー(餃子バル)
・絶品!手づくり餃子
・崎〇軒超え!ゴロゴロ肉焼売
・絶旨!とろーり!チーズエビチリ 石鍋で!
・すっげーー人気!パクチーメンマ
●産地など食材へのこだわりをアピール(イタリア料理店)
・山形県産金華豚のグリル
・熊本県菊池 原田さんのすごく美味しいモッツァレラと桃
・イタリア産カルドンチェッリ茸のオムレツ
●ドリンクメニューのサイズ表記で大ジョッキへ誘導(餃子酒場)
・「大ジョッキ」「中ジョッキ」ではなく、「おとな」「こども」
●ドリンクメニューにユニークな名前(居酒屋)
というようなものが紹介されていました。
どのネーミングも、売上増に貢献しているようです。詳しい説明は、Foodistでご確認ください。
コメント
「崎〇軒越え」というのは、ギリギリだなという気はしました。「〇」をつけて少し配慮しているというところでしょうか。
それはさておき、飲食店自体の名称は、「飲食物の提供」で43類の役務ですが、飲食店が提供するメニューって商標登録の対象だったかなとふと疑問に思いました。
しきし、これって、昔からある議論ですね。「美々卯」の「うどんすき」は登録商標ですというのを思い出しました。
昔は、サービスマークがなかったので、お持ち帰り商品「うどん」についての商標「うどんすき」が商標登録されているという話です。
登録2704205号に、
第30類「うどんめん、即席うどん」で商標「うどんすき」が登録されています。
ただ、サービスは、第4401785号で、
第42類では「(図形付き)うどんすき」(縦書き)が、「うどんすきを主とする飲食物の提供」となっています。
飲食店のメニューの「うどんすき」は、普通名称化していると読めます。
どうも、メニューの世界は、普通名称化との戦いがあるようです。
一般論としては、マクドナルドの「ビックマック」「マックシェイク」は、お店で飲食することも、持ち帰りもありますが、十分に商標として機能しています。メニューが商標登録にならないということはなさそうです。
普通名称化しているとか、記述的商標であって誰でも使える状態であるかどうかなどが、基準でしょうか。
おそらく、大手飲食チェーンなどは、できるだけ普通名称や記述的名称を使って、商標調査や商標登録を取る手間を省いているのだろうと思います。
(先日の商標協会の年次総会で、アンリシャルパンティエの弁護士さんは、お菓子業界はそうだと言っていました。)
上の例でいくと、
は、説明を聞かないと分からないネーミングですので、識別力の観点では、商品でも役務でも商標登録はできそうです。
居酒屋などの飲食店の中で提供するメニューなので、お店の名前で顧客を吸引していおり、そのお店のメニューは2次的な選択要素となりますので、直接的に出所混同が生じ易いかというとそうではありません。
そのため、お店自体の名称とちがい、事件にはなりにくいものではあります。
商標登録の心配をしなくて良い、しかし、特徴のある名称にして、売り上げ増を狙うとなると、キャッチフレーズ的なネーミングにすべきかもしれまえん。
タイトル、商品名の長文化の傾向です。
なお、商標の議論で参考になりそうなものは、下記です。
商標判例読解40 「皇朝」事件判決(メニューでの商標の使用は飲食物の提供についての商標の使用か) | ユアサハラ法律特許事務所
メニュー名称は「飲食物の提供」についての商標使用? | 本日の前菜(商標仕立て) | 名古屋の商標亭
マーケティングのサイトではメニューの商標登録を勧めているもののあり、このあたりは名称と企業の考え次第ということでしょうか。