Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

新・商標法概説(その50)

刑事的救済

商標権侵害は、従来から非親告罪である。商標権侵害罪には故意が必要である。

 

保税倉庫・保税工場:

商標の輸入に関連して、保税地域内にある貨物は、関税法上は国外であり、いまだ商標権侵害ではないという説(通関説)もある。

しかし、それでは陸揚げされている偽造品を止めらないという不都合がある。

この点、スイスの最高裁判例では、関税法上国外である保税倉庫も商標法上国内とする。また、政府も陸揚げ時、荷揚げ時に輸入と解すると国会で答弁している。

 

虚偽表示罪(80条)の構成要件の内容は、74条に譲っている。

 

コメント

特許と違って、商標の場合は、刑事事件も良く見ます。ただ、弁理士の日常業務で商標権侵害罪を扱うことはあまりありません。

 

それはさておき、本書には虚偽表示罪について、少し記載があるだけです。

商標実務では、商標登録表示Ⓡや、TMをどうするかというマーキングについての質問は、良くある質問であり、各社とも困っていることだろうと思いますが、目次をみても、索引を見ても、商標登録表示やその虚偽表示についての解説はないようです。

 

これだけみんなが困っている内容について、本書にコメントがないというのはどういうことなのかなと思いました。

 

.xxzxzzszsd dsddd ddcc.%vcc xcx.c;vvc -?Q?昔は商標登録表示Ⓡは、商標権者の権利であり、積極的につけるものだと思いっていました。特にアメリカではそうです。損害賠償請求するときに、Ⓡをつけていないと警告後の損害分しか損害賠償請求できないということで、米国企業が積極的につけていました。

中国などは、Ⓡをつけないと商標登録を取消すという強い法制だったことがあります。

 

しかし、最近は、INTAのマーキングのところを見ていても、かなりトーンダウンしていいます。

米国の判例で、著名商標については、Ⓡがなくても全ての使用分の損害賠償ができるという判例が出てきていると、米国の弁護士に聞いたことがあります。

 

虚偽表示の罪の関係で、商標登録をとれていない商品に、他の商品と同様に一律にⓇをつけて虚偽表示になることを心配してのことです。

特に、グローバル商品は、世界中に輸出されるので危険性があるということです。

 

10年ぐらい前まで、多くの米国企業のコーポレートブランドには、Ⓡがついていましたが、ここ最近、どんどん消えています。

 

商標登録表示は、商標権者の権利のようなのですから、本来は積極的にすべきものなのですが、虚偽表示の罪と言われると、引いてしまいます。

 

ではTMにするとよいかというと、TMもⓇも、商標登録が取れていないときは、虚偽表示になるというドイツの判例があるという話もあります(この話、記事で見たのですが、最終、どうなったのでしょうか?)。

 

そうなると、ⓇもTMもマーキングしないというのが現在、お薦めの運用となるでしょうか。

著名商標はⓇが不要で、技術ブランディング対象製品などはⓇが必要というのが、現状でしょうか。

 

20年前までは、虚偽表示など気にせずにⓇをしていたのですが、Ⓡの運用を厳しくする国(記憶ではペルー)が出てきて、一挙に変な風になってきた感じがします。

中南米の国など、当該国に商標登録を取っていないのに、米国から輸入品にⓇがどうどうとついているのは気に入らないというのが背景ではないかと思っているのですが、このマーキングは、WIPOで議題にしてもらえないものでしょうか。