グーグルが米最高裁で勝訴
2021年4月6日の日経夕刊で、APIの著作権を巡る、10年に及ぶオラクル対グーグルの訴訟が、グーグルの勝訴で決着したという記事がありました。
Google、オラクルの著作権侵害せず 米最高裁判決: 日本経済新聞 (nikkei.com)
- グーグルが、アンドロイドOSに、オラクルのコードを組み込んだことは、素材のフェアユース(公正な利用)にあたる
- グーグルは、Javaのコードの一部を許可なく組み込んだ
- 損害賠償請求金額は、少なくとも90億ドル(約1兆円)という主張だった
- 一審はグーグル勝訴。二審はオラクル勝訴
- 8名の最高裁判事が6対2でグーグルを支持
- スティーブ・ウォズニアック氏らは、ソフト開発への制限を危惧して、グーグル支持
- オラクル幹部は、「彼らはJavaの技術を盗み、独占企業ならではの訴訟を10年かけて行った」と批判
コメント
この話は、2020年10月の日経に、詳しくでていました。
Google、オラクルの著作権侵害せず 米最高裁判決: 日本経済新聞 (nikkei.com)
- オラクルが権利を持つプログラミング言語「Java(ジャバ)」のコードから約1万1000行を同社の承諾なく組み込んだ
- オラクルの共同創業者の一人であるラリー・エリソン氏はトランプ氏に近いとされ、米政権はオラクル支持
トランプ政権からバイデン政権に変わっていますので、この影響もあったかもしれません。
また、2021年4月8日の朝日新聞によると、米国ではソフト開発時に、大きな技術革新につながるときは、「公正な利用」(フェアユース)が認められるとのことです。
フェアユース、難しいですね。
技術的なところは、良くは分かっていないですが、詳しいのは次の記事です。
ついに決着、グーグル対オラクルのJava訴訟--判決の意味を考察 - CNET Japan
APIとは何か、Javaとは何か、著作権とは、アイディアと表現の区別とか、ソフトウェア特許は、などが解説されています。
特に、次の点しょうか。
公開された判決文では、JavaのAPIを図書分類法の1つ「デューイ十進分類法」と言葉そのものにたとえている。さまざまなアイデアで構成される潜在的な世界を定義する一種の分類システムがあり、その分類システムによって、ユーザーは現実の世界で実際のタスクをうまくこなしていくことができるというものだ。ここから、APIはアイデアそのものであり、アイデアの表現ではないため、著作権で保護されるものではないという強い意思が読み取れるのではないだろうか。
APIはアイディアであり、アイディアの表現ではないとあります。
著作権法の保護の対象外かどうかについては、今回の判決では明確にはしていないようですが、このCNETの記者は、JavaのAPIが、図書分類法にたとえられた点から、最高裁の考え方(著作権法の保護対象外)を読み取っているようです。
それにしても、10年の訴訟というのは気が遠くなる感じがします。こんな訴訟の法務担当者になってしまったら、この訴訟は人生の一部みたいなものですね。