Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

ヤフーの不適切投稿分析AIの提供

無償で

2021年5月19日の日経に、ヤフーが不適切投稿を分析するAIを、競合に無償提供するという記事がありました。

ヤフー、「不適切投稿」分析AI: 日本経済新聞 (nikkei.com)

  • ヤフーは、不適切投稿を分析するAIを無償提供
  • 2020年9月に無償提供を表明。今回、3社が導入
  • 既に20社以上から相談あり
  • 投稿内容(コメント)が「建設的」かどうかを、10点満点で評価
  • ディープラーニングを使うヤフーの技術
  • 6万件のヤフーニュースのコメントを、3000人が評価した結果をコンピュータが学習済み
  • ヤフーでは、1日で7000件の記事があり、30万件のコメント。そのうち、2万件を削除
  • 導入各社は、当面、利用規定違反のコメントの発見とスコアの良いコメントの優先表示に活用
  • ヤフーは、より汎用的なAI技術の開発を目指す

コメント

ヤフーニュースは、既存のメディアのニュースを選択して、表示順位を決めて、リンクを張ったものですが、それ自体は他のポータルサイトやニュースサイトと差はありません。

 

ヤフーのニュースが良いのは、投稿(コメント)があるかことで、このニュースにはこういう反応が多いのかというところを見ることができるところにあるので、投稿はヤフーニュースの価値に直結しているのだろうと思います。

 

不適切コメントですが、30万のコメントで2万件というのは膨大な数字です。これを何人で対応しているのかはわかりませんが、人間だけで全部読んで、判断するのは困難です。ヤフー自体がAIを使って、そのあたりを効率化したというのは、よくわかります。

3000名のモニターを使って、6万件を10段階評価した結果を活用というのも、すごいなと思います。「建設的」かどうかという切り口ですので、他の切り口なら別の調査がいるのかもしれません。

 

今回、ヤフーは、自社で開発したAIを競合を含む第三者に無償提供しています。通常は有償出るものだろうと思います。

 

無償というのは、社会のためという側面もあるのかしれませんが、各競合が生み出すデータを利用させてもらうためなのかもしれません。

 

戦前だろうと思いますが海外のラジオの特許を調べて日本で特許権を取得した人がいて、それで皆が困っていた。松下幸之助がそのラジオの特許を買い取って、業界に無償提供したという話をパナソニックではよく聞きました。

 

今回のヤフーの無償提供の話も、無償提供という面では同じです。松下幸之助は業界全体の健全な発展を願ってということでしょうし、ヤフーはデータの豊富化やAI技術の進化を狙っているだろうと思います。