提出した証拠が不十分?
2019年1月16日のロイターで、欧州連合知的財産庁(EUIPO)が、Macdonald's のBig MacのEUTM商標の登録を取消したという記事があることを知りました。
速報ベースのもので、あまり詳しくないので、海外の記事でなにかないか調べたところ、同日のWIPRの記事がありました。
内容としては、
- 2017年に、アイルランドのファストフードチェーンのSupermac'sが、「Bic Mac」のEUTMの登録を取消すことを請求
- 1月15日EUIPOが取消決定
- Macdonald'sは、欧州でSupermac'sの拡大を阻止しようと、Bic Macとの類似性などを主張
- 不使用取消では、Macdonald's は、フランス、ドイツ、英国の会社代表がBic Macにかなりの売上がある旨の宣誓供述書を提出
- しかし、EUIPOは、従業員の供述は価値が低いと判断
- Bic Macのポスター、パンフレットも提出したが、配布方法、配布先、実際の購入につながったのかという情報を提供しなかった
- Webサイトの印刷物も提供。しかし、訪問されたこと、Webサイトを通じて注文された証拠は提出しなかった
- Macdonald'sは、上訴を検討中
とあります。
コメント
実際は、Bic Macが、使用されていたようです。しかし、提出した使用証拠が不十分としてMacdonald'sの登録が取り消されています。
これは厳しい決定だなというのが第一印象です。
相手方は、「Supermac's」です。Macdonald'sがこの商標の欧州展開に対して、「Bic Mac」などの「Mac」がついた商標を根拠に、異議申立や無効申立てをしているのだと思います。
それに対して、Supermac's側が、根拠となる「Big Mac」の不使用取消を起こすというのも、理解できます。
ただ、「Bic Mac」は、実際は使われているのだと思いますし、一応、ポスター、パンフレット、かなりの売上があることを示す宣誓供述書まで提出していて、取消すのはどういうことなのか?と思います。
より詳細に、実際の配布や販売についての情報がないということですが、Webで注文を受け付けていたならその証拠はあると思いますが、店頭販売のレシートはお客さんに渡していますし、ハンバーガーの販売に契約書などはありませんし、何を出せというのか?という気がします。
職権主義的ですが、EUIPOにおいて顕著な事実として、「Bic Mac」は使用しているとしても良いぐらいのように思います。というのが素直な感想です。
それはさておき、問題は、「Supermac's」です。すでに、多くの店舗を展開しています。「mac」「's」など、Macdonald'sに似ている面があります。
Supermaxなら、放置しても良いのですが、これは、無視は出来ません。
名声を利用したりしている面はあると思います。消費者の混同が生じるということはないのかもしれませんが、当事者の話合いで、棲み分け(併存契約)など不可能ではないかと思います。
Macdonald'sが本気でつぶすつもりなら、大訴訟を覚悟する必要があります。
今回の不使用取消の決定には上訴するしかありませんが、有名商標権者も大変だなぁと思いました。有名ですので、似た商標も出てきますし、これに対応しない訳には行きません。とんだ災難です。
ブランド価値を守るためと、前向きに捉えて、対応するしか無さそうです。