Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

著作権の保護期間の延長

TPP11や欧州とのEPAで必要

2018年2月11日の日経に、小説や音楽の著作権の保護期間が、作者の死後50年から70年に延長する改正案が、今国会に提出されるという話がありました。

www.nikkei.com

  • 小説や音楽の著作権の保護期間を、20年長い「作者の死後70年」に
  • 著作権法の改正案を今国会に提出
  • 1970年制定の現行の著作権法は「死後50年」
  • 欧米の多くの国が「70年」に延ばしている
  • 日本では「過去の作品を広く社会が活用するために延長すべきでない」など反対論も強く、文学作品や音楽は「50年」のまま
  • TPP交渉では米国の要求に応じ、保護期間を文学作品を含め死後70年以上に統一することで合意
  • トランプ政権となって米国が離脱した11カ国の交渉(TPP11)の合意内容では保護期間延長は一時棚上げに
  • しかし、OECD諸国の多くが死後70年としていることもあり、政府は3月8日にTPP11に署名した後、著作権法改正案を提出予定
  • TPP11の発効で施行する方向。2017年12月に交渉妥結した日欧のEPAの発効が先となれば、TPP11の発効前に施行する可能性もある
  • いずれも2019年発行を目指している
  • なお、映画(会社名作品)については2003年の法改正で「作品公表後50年」から「70年」に延長済み

 

コメント

Wikipediaに世界の著作権保護期間に一覧がありました。50年と70年に大きく分かれるようです。

世界各国の著作権保護期間の一覧 - Wikipedia

著作物の保護に関するベルヌ条約が、第7条において締約国に最低限、死後または公表後50年間の保護を義務付けているために、50年という国が多いようです。

しかし、米国だけでなく、OECD各国が軒並み70年のようですので、TPP11や欧州とのEPAの施行に合わせて、日本も同じようにするのは、致し方ないということなのでしょうか。

この問題、日本では、相当数の反対があるようですが、政府が押し切った形です。

 

個人の場合は、遺族もありますので、ある程度長くても良いかと思いますが、法人の場合は、死というものがありませんので、企業が存続する限り、どうしても、もっと長期に、と思ってしまいがちです。きりがありません。

 

よく言われることですが、著作権法の延長はミッキーマウスを守るためと言われています。下記のサイトに詳しくその当たりの情報が載っています。

gigazine.net

ミッキーマウスの法的保護は必要だとは思いますが、本来は、立体商標不正競争防止法の保護に移るのが自然なのだと思います。