Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

就職での食品メーカーの人気

学情の調査結果

2018年5月21日の朝日新聞に、学情調べの2019年卒の学生の就職企業人気ランキングがありました。

朝日新聞の記事の特徴は、10年前のランキングと比較していることです。

  • 2019年春の20位までのランキングは、

1.全日本空輸、2.味の素、3.日本航空4.オリエンタルランド、5.伊藤忠商事6.カゴメ7.資生堂8.明治グループ、9.JTBグループ、10.アサヒ飲料、11.花王、12.JR東日本、13.近畿日本ツーリスト14.エイチ・アイ・エス15.コーセー、16.ロッテグループ、17.森永製菓、18.キユーピー、19.イオングループ、20.ファーストリテイリングとあります。

  • 一方、2009年春のランキングは、

1.資生堂、2.サントリー、3.シャープ、4.伊藤忠商事、5.三菱UFJフィナンシャル・グループ、6.日立製作所7.JTB、8.松下電器産業、9.キャノン、10.トヨタ自動車11.味の素、12.三井住友フィナンシャルサービス、13.博報堂DYホールディングス14.オリエンタルランド、15.ベネッセコーポレーション、16.みずほフィナンシャルグループ17.エイチ・アイ・エス、18.住友商事19.全日本空輸、20.バンダイです。

  • 10年前も、今も、トップ20に入っているのは、7社です。(青色にしました)
  • 身近でなじみのある食品メーカーが浮上

というような内容です。そして、朝日新聞は、学情担当者のコメントや大学教授、メーカー、学生などのコメントがバランスよく掲載しています。

 

コメント

学情のWebサイトに、調査結果がありました。

『2019年卒 就職人気企業ランキング【速報】』|新卒・第二新卒採用サービス 学情

調査対象は、2019年3月卒業、修了予定の大学3年生と大学院1年生です。N数は8,331名で、就職希望企業を最大5社選択とあります。

日本の大学学生数と比較して、今回の回答者は、中日本・文系・女性の数が多いようで、ウエイトバック処理をしているようです。

 

朝日新聞が比較してくれているので、分かりやすいのですが、10年前と比較すると、明らかに、電機・機械のメーカーと銀行がランキング外に落ちています。

トップ20から落ちている、電機・機械メーカーは、シャープ、日立製作所松下電器産業、キャノン、トヨタ自動車です。

電機が人気がないのは、スマホ半導体も液晶も苦しい状態ですので、理解できますが、トヨタは今でも十分すぎる利益を出しているのに、なぜ、人気がないのか?と思ってしまいます。

銀行はAIに業務が置き換わるので、銀行員数が減るという話が原因ではないかと思います。

これらの業種は、これから、40年間就職するとすると不安を感じてしまうのだと思います。トヨタでさえ、電気自動車になるとプレーヤーが全く変わる可能性がありますので、学生の意見は理解できます。

 

一方、この10年で伸びているのは、食品メーカーです。10年前のランキングに入っていたのは、味の素だけだったのが、今は、味の素、カゴメ、明治グループ、アサヒ飲料、ロッテグループ、森永製菓、キユーピーと7社も入っています。

朝日新聞には、食品メーカーは、なじみがあるとか、健康志向とか、働き方がイメージしやすいとかの意見が載っていました。

 

食品メーカーのブランド認知はもともと非常に高いと思います。消費者には身近な商品だからです。以前、今ほど就職で人気がなかったのは、生涯年収が比較的低く、また、採用人員がそれほど多くなかったためではないかと思います。

 

ただし、食品メーカーは、景気に左右されにくいので、安定的に成長しています。電機メーカーや銀行のように、将来に不安になることも少ないのだと思います。

また、食品メーカーは、味の素などを除き、日本ローカル企業という印象がありましたが、各社とも成長のために積極的に海外に出ていくことなりそうですので、仕事の幅の広がりも期待できます。人気になるのは分かるような気がします。

 

本来、人材ボリュームのピークを平準化するためには、良いときにもあまり沢山採用せず、反対に悪いときにも計画通りに採用し続けるのが一番良いと聞きます。

かつての電機メーカーは、爆発的に業務が拡大したので、ジェットコースターのような乱高下が有りましたが、簡単に雇用を切れない日本では若い人を採用できない理由になりました。

食品メーカーは安定しているので、期せずして、そのような状態になっており、良い循環が続いているのではないかと思いました。