Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

フランス競争当局の協議指令

グルーグルと仏メディア

2020年4月11日の日経に、フランスの競争当局が、グーグル(アルファベット)に対して、フランスのメディアと検察サービスで表示する記事の使用料について協議するように命令を出したという記事がありました。

仏当局、グーグルにメディアとの協議命令 記事使用料で (写真=AP) :日本経済新聞

  • グーグルは、報道各社の記事を無料で使用
  • 2019年4月にEU著作権法の改正案を採択。プラットフォーマーがニュース記事を載せる場合は、使用料をメディアに支払う義務
  • フランスは、2019年10月に著作権法を改正
  • グーグルは、使用料を支払うことになるなら、記事の抜粋を表示しないと表明
  • これを受け、フランスメディアはグーグルの対応について審査するよう申立て
  • グーグルが優越的な地位を段用し、報道機関の収益を奪っていることを理由に競争当局が協議命令
  • 各メディアの求める対価が異なり、調整は難しい可能性
  • 協議期間は3ヶ月
  • 2013年にドイツでも同じ動き。しかし、グーグルが表示を減らした結果、各メディアへの来訪者が減ったため、無料での表示を認めた経緯

コメント

グーグルが支払ないので、フランスメディアは競争当局に優越的地位の利用で申立てをして、協議命令を勝ち取ったようです。

3ヶ月で調整をするのは難しそうですが、どうなるのでしょうか。

 

今回、抜粋が問題となっていますが、日本版のGoogleをみたところGoogleのニュースのページでは、見出しとメディアの名称と公表日程度しか掲載されておらず、後は各サイトにリンクとなっています。

この程度でも著作権の対価を支払わないといけないというのどうなのかなという気はします。実際の記事を読もうとすると、各メディアのサイトに飛びます。

フランス語のフランス地域のGoogleでも同じようになっています。

 

各メディアは自分のサイトに来た段階で課金をすることが可能であり、最近の日本の新聞社などはそれを強化している傾向だと思います。

(ただ、今回、緊急事態宣言が出ているので、朝日新聞では、無料会員登録をすると記事が読めるようになっています。)

このような課金の取り組みを各社がすることで、フランスのような問題を避けることができるように思うのですが、フランスのメディアは課金が難しい理由があるのでしょうか。

 

アメリカの新聞社は、プッシュ型というのか、どんどん記事のメールを送ってきますが、詳細を見ようと思うと課金が発生します(ので結局は全部は見ないことになります)。

無料と課金のメリハリが効いている感じです。

 

新聞では、配達網の維持にコストがかかり、本当は配信で課金できれば、一番良いのだという話を聞いたことがあります。

 

フランスメディアのグーグルとの交渉も、グーグルからの収益分配もあるのかもしれませんが、このような係争を通じた、読者への有料登録への誘いが本当の目的なのかなと思ったりします。