IPランドスケープでの説明
2020年5月4日の日経に「知財量に頼る日本勢ー分析法『IPランドスケープ』で鮮明」という記事がありました。表を見ないと理解しにくいので、表をご確認ください。
知財 量に頼る日本勢 分析法「IPランドスケープ」で鮮明 質やコスト、海外勢に後れ :日本経済新聞
- レクシスネクシス子会社の独パテントサイトの分析
- 日本企業は数は多いが、質や管理面で海外勢に遅れ
- 特許の質は、技術的価値=引用と、市場=各国での特許化で指標に
- 表は、縦軸に特許の質、横軸に特許件数
- キヤノンやトヨタ自動車は、総合力は高いが、平均の質が低い
- アップル、アルファベット、ボッシュは、相当力も大きいが、特許数は少なく、特許の質が高い
- 特許維持にはコスト(20年で平均100万円~200万円)
- 日本ではソニーが特許の質を高めて数を減らしている
- パナソニックも数は減らしたが、質はソニーと差
とあります。
コメント
表に中に、ソニーとパナソニックの比較の表があります。2000年~2020年のソニーとパナソニックを特だしし比較しています。
目分量ですが、ソニーが、量8万件/質は0.8(2000年)から、量3万件/質2.5(2020年)に良化しており、一方、パナソニックは、量35万件/質は0.4(2000年)から、量7.5万件/質1(2020年)になっています。
パナソニックも総合力で見ると、日立製作所やトヨタ自動車ぐらいなのではないかと思いますので、特に悪いわけではないようです。
しかし、表の書き方・記事の書き方では、パナソニックが今一つのように思えてしまいます。
さて、この表の考え方が正しいとしてソニーは直線的に良化しているだけなのですが、パナソニックは変化が激しいなという気がしました。
パナソニックを見ると、
まず、2003年~2008年ぐらいに掛けて急激に件数を減らしています。
また、2009年~2013年にかけて質がアップしていますが、想像ですが、おそらく海外出願を強化したのではないかと思います(このあ時期、PCTのTOPの常連でした)。
20014年からは、質はキープで、件数を順調に減らしています。
そして、ソニーもパナソニックも、この5年程度は同じところにいるようです。
外国出願が多いので、製薬会社などは特許の質は有利に出そうです。このあたりが、「管理」という面なのだろうと思います。
純粋に技術的な、引用数の多さでこのグラフを作ると、どうなるのかなと思いました。
事業分野やライバル企業との相関で見ないと何とも言えないのですが、件数を減らすことがトレンドとなると、本当は特許事務所も事業戦略を変えないといけないんでしょうね。