専門部署の立ち上げ
2020年6月25日の日経に、アマゾンが模倣品専門部署を立ち上げたという記事がありました。
アマゾン、模造品販売で専門部署 法的責任を追及 :日本経済新聞
- 6月24日に発表
- 元検察官、データアナリスト、サイバー犯罪などの専門家からなる「偽造品犯罪対策チーム」設置
- 国境をまたぐ複雑な問題対応
- 偽ブランド品が見つかった場合、登録データ、外部情報を活用して証拠を集め、事業者を特定
- メーカーと協力して民事訴訟、また各国の捜査当局に情報提供
- これまでは、AIで発見して、削除する取り組みに注力
- 2019年に約530億円投入、60億点以上の商品と250万以上のアカウント削除
コメント
人的な対応だけでは抜け漏れがあるので、AIを活用するというのが流れなのかと思っていましたが、アマゾンは反対にAIの活用からスタートして、それである程度の成功を収めてから、AIでは不十分な点を人的資源を投入して解決しようとしているようです。
到達目標は同じでも、まず初めにAIを使うという点が、アマゾンらしいところではないかと思いました。
このチームのことをアマゾンのリリースでも発表しています。
- アマゾンの商品の模倣品をリスト化して、司法の手に
- 模倣品をゼロにすることが目的
- 現在、顧客との取り引きの99.9%では、模倣品であるとの申立てはない
- アマゾンの模倣品対策システムの裏をつく業者を、アマゾンのデータ、外部支払データ、その他の情報から調査
- アマゾンのCustomer Trust and Partner Support責任者がコメント
模倣品の申立てが0.1%というのは、多いのか、少ないのかよく分かりませんが、専門家チームを立ち上げないといけないのですから、素直に考えて、無視できない数だということなんだろうと思います。
責任者からすると、今回の専門部署は、純粋な法務部門ではないようです。
ネット販売の企業ではない、通常の日本企業なら、取引の開始の段階で、登記簿謄本を出したり、印鑑証明を出したり、面談をしたり、場合によっては、興信所を使ってデータを調べたりして、問題のある取引先かどうかをチェックします。
ネット企業は、そのあたりのアカウント申請がネットで完結できるのだと思いますが、それが不正の温存になるんだろうと思います。
よく模倣品対策の対策をする人が、消費者が偽物と分かって購入する分には問題ないが、消費者が本物と思って騙されて購入することは避けたいという趣旨のことを言います。
プロでの真贋判定が容易でない模倣品も多いと思いますので、信頼のできるルートということが重要なように思います。
以前、ハーボニーという薬の偽物を、病院向けの薬局が、まったく知らない人から購入していたという話を聞いて驚いたのですが、アマゾンも取引業者の選定基準を変えることが一番重要なのではないでしょうか。