登録事由の存否判断の標準時、団体商標、地域団体商標
登録事由の存否判断の標準時、団体商標については、特に特徴的な記載はありませんでした。
地域団体商標については、審査基準をだいぶ引用しています。
地域団体商標の登録要件は、
- 出願人は、「事業協同組合その他の特別の法律により設立された組合又はこれに相当する外国の法人」であること
- 組合等の「構成員に使用される商標」であること
- 「商標が使用された結果自己又はその構成員の業務に係る商品又は役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている」こと
- 商標が地域名称及び商品又は役務jの名称等からなっており、次の各号のいずれかに該当する構成であること
- 地域の名称が商標登録出願前から当該商品・役務と密接な関連性を有していること
とあります。
コメント
団体商標は、大正10年法では団体標章と言っていたものを、平成8年法改正で、団体商標として復活したものです。ウールマークが代表例という説明があったように記憶しています。
昭和34年法で、商標に使用許諾制度を導入した(当時は画期的でした)ので、使用許諾で十分目的が達成できるとして、無くなったのですが、パリ条約には団体商標の保護の規定がありますので(7条の2)、無くしたことが勇み足だったのではないでしょうか。
パリ条約講和の手元の本(古いものです)を見ていると、同じ商標をある国では、「collective mark」(団体商標)といい、ある国では「certification mark」(証明商標)というとあります。
J-Plat Patで、団体商標と地域団体商標で、どの程度の件数があるのか見てみました。
団体商標:717件
地域団体商標:760件
イメ―ジ的には、地域起こしの一環で、もっと地域団体商標の数が多いのではないかと想像していたのですが、団体商標が頑張っているなという感じです。
最近でも、団体商標の出願や登録は割とあります。
地域名が冠されていないものは、団体商標になりますので、それはそうだなという気はしました。
団体商標も、地域団体商標も、「商標」ですので、通常の審査の対象になります。あくまで、3条の「自己の業務に」とか、「地域+商品名」という点についての、例外というだけのことのようです。
さて、地域団体商標の冒頭の登録要件を見ていて、3条2項の立体商標、新しい商標と同じく、出願前の使用を問題にしていることが分かります。
このあたりに、純粋な登録主義の限界が出ています。
地域団体商標も、最近の改正ですが、最近の商標制度は、出願前の使用を証明するようなことが多くなっています。
これは、純粋な登録主義では無理なところでありますし、商標制度自体が、自浄作用を発揮しているのではないかと思うようになりました。