英国向け(2021年1月1日から)
2020年9月10日付のJETROビジネス短信で、Brexitの関係で、英国向け製品(北アイルランド向けを除く)については、従来のCEマークではなくUKCAマークを使用しないければならず、そのガイダンスが公表されたという記事がありました。
英国政府、移行期間後の「UKCAマーク」のガイダンス公開(英国) | ビジネス短信 - ジェトロ
- 英国政府はUKCAマークについてのガイダンスを公表
- 新しいUKCAマークは、EUのCEマークに代わるもの
- 現在のCEマーク対象製品の大半が、UKCAマークの対象
- 北アイルランドは対象外
- 技術要件、評価のプロセス・規格の大部分は、CEマークと同様
- 一部を除き、CEマークは2022年1月1日まで引き続き使用することを可能
- UKCAマークは、5ミリ以上の大きさの確保や、視認性・可読性などの条件
- CEマークがついた製品でも、UKCAマークが貼付され、英国の関連規則に準拠する限り、英国での販売は引き続き可能
などです。詳しくは、JETROビジネス短信をご覧ください。
(ガイダンス)
Using the UKCA mark from 1 January 2021 - GOV.UK
(UKCAマーク)
(CEマーク)
コメント
UKCAマークになることは、2019年2月の段階で公表されていたようです。今回のガイダンスは、より詳細な話をしているようです。
CEマークは欧州統合の一つの象徴ですので、理屈としてはCEマークを続ける訳にはいかないのは理解できますが、マーキングを変更しないといけないメーカーとしては、大変な作業です。
従来のCEマークを、CEマークとUKCAマークにする必要があります。大きさの確保のレギュレーションもあるようですし、メーカーの方は大変だろうと思います。
以前も、技術ブランディングのあたりで、ご紹介したことがあるかもしれませんが、EU統合と標準化の話については、下記の本が参考になります。
著者の田中正躬さんは、ISOの会長経験者です。欧州統合と標準化の様子が良く分かります。
今回のUKCAマークへの変更ですが、ISO的なCEマークの運用ルールはそのまま引き継ぐようです。
EUTMといい、ISOといい、CEマークといい、欧州統合という壮大な実験で出てきた考え方は、グローバル化を進めるには、こうするしかないだろうなというものが多いと思います。
1990年代のはじめのころ、知財協会の商標委員会に入ったばかりのころ、日本が主体になってAPEC商標条約を作って、アジアの経済的統合を促進すべきという意見を、知財協会の商標委員会で話が出たことがあったのですが、S社の大御所の意見で、その意見が一蹴されてしまったことがありました。
理由は、第二次大戦の影響は強く残っており、アジアで日本提案は受け入れらないというものでした。
私などは当時20代で若かったので、そんな古いことを言われてもと思ったのですが、1990年代はじめの日本なら力はあっても、今の日本ではどうしようもありません。マドプロを推進するしか手段がないという状況です。
経済統合というものがあって初めて、APEC商標法も機能するのだろうと思いますので、そちらが先決であり、結局は、実現できなかったと思いますが、もし仮に、あの時、APEC商標条約を提言し、実現していたら、今の商標業界は、だいぶ違った景色になっていたように思います。