Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

やらせレビューの追跡

やるなら、ここまでやらないと

2020年9月16日の朝日新聞夕刊に、福岡市の健康食品販売会社の社長が、アマゾンのレビュー欄に低評価のレビューが続き、売り上げが落ち込んだため、執念の追跡をして投稿者を割り出し、警察に被害届を出し、ある会社の役員が信用毀損罪で罰金刑を受けた件が紹介されています。

 

  • 社長は、2018年1月に異変察知
  • 低評価レビューが続き、売上2割あまり減
  • 投稿者名から、ある仕事紹介サイトへ
  • この人物に自社のモニターを依頼
  • 低評価レビューの配送先の一つと一致
  • 低評価レビューの加筆修正に応じた
  • 弁護士とこの人物を訪問
  • やらせレビューと認める。1件500円の請負い
  • 仕事紹介サイトに登録者情報を照会したが、捜査機関でないと依頼者情報は、開示しない
  • 社長は、競合他社をアマゾン内で検索し、自社の会社と似た通販会社と考え、サプリメントを購入し、会社と特定
  • 社長はこの会社を訪ねて、男性役員と面談。男性役員はレビューの依頼を認めた。あえて追及しなかった
  • 後日、バーで盛り上がり、一連の経緯を話しているものを録音、県警に被害届

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ここまでやるかという感じですが、ここまでしないと解決しないですね。

このレビューの話も同じで、被害にあった社長が動いた(警察や探偵にも頼らず、自ら動いた)ことが、権利の本質だろうと思います。自力救済の禁止が近代法の前提ではありますが、今回のケースなど、警察に相談しても、おそらく取り合ってもらえないと思いますので、自分で動くしかないのだろうと思いました。

 

先日、商標協会の講習会で、多少無理と思っても、自分の権利を主張いくことがいかに大事なことであるかを学びました。イエ-リングの「権利のための闘争」そのものだなと思いました。

権利は役所が認めてくれるものではなく、法に従う必要はありますが、自らが権利主張をすることで権利が認めるのであり、声を上げずに権利が認められることはありません。

商標で云えば、出願して登録になったら権利があるというのは、保護過剰(過保護)であり、役所が登録しただけでは、強い権利者=強い権利はできません。

 

以前の会社で、ある模倣品事件があったとき、日本で模倣品事件があったのですが、法務部の部長自ら動いて、ある工場を探し出したことがあります。海外の模倣品事件では身の危険があるので、自ら動くなといいますが、国内なので、動いて発見までは行きました。これなどは、一つの良い事例と考えられます。

一方、知り合いの弁理士で、交渉時に相手に殴らけて、怪我をされた方もいます。

やはり信頼のおけるプロの探偵に頼まざるを得ないように思います。

外国商標の仕事では、どの法律事務所でも、探偵を使っています。そのため、毎年、現地調査までやる案件がありますが、国内ではあまり使わないようです。浮気や離婚事件の探偵は、沢山いるようなのですが、このあたりの経済事件の探偵はあまり聞きせん。

 

ただ、上記のレビューの事件の場合、ここまでの対策をやっても、また、別の事業者に同じことをされると、一から、この手順を踏む必要があります。

アマゾンなどが、奇妙な投稿があった場合、確認するというのが理想ですが、それが難しければ、アルゴリズムで、この内容はおかしいということを察知して、投稿を排除することはできないものかと思います。

 

 

 

中国の模倣品対策で、工場まだ行きつかないが、流通をしらみつぶしに叩いていくしかなく、モグラたたきのよだと言われますが、このアマゾンなどのレビューも、それに近いものがあります。

 

 

 

 

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