リナ・カーン(法学者)
2020年9月23日の日経に米国の独禁法学者のリナ・カーンさんの紹介記事がありました。
新たな「独占」、巨大ITにメス 法学者 リナ・カーン :日本経済新聞
- 「アマゾンの反トラスト・パラドックス」、2017年のエールの法科大学院の学生の論文がベストセラーに
- 反トラスト法の運用では、短期的な消費者の不利益、つまり価格のつり上げがなければ違法とみなされない
- しかし、それではオンライン経済の市場支配力を捉えられない
- アマゾンは物流を独占し、膨大なデータにより、競合を押しつぶす
- 小規模ビジネス、起業家、社会全体に損害を与える
- 低価格でも規制すべき
- 経済理論モデルに頼らず、現場の声をヒアリング
- 経済や法律の知識がなくても理解できる内容
- カーン論文がネットで拡散
- 反トラスト法についての下院小委員会の顧問、コロンビア大法科大学院の准教授へ
記事には図がついており、これを見ると、アマゾンの手法は、消費者にとっては一見便利であるが、競合の書店などを駆逐し、出版社には販売コストを負担させ、出版社は売れ筋ばかりの販売し、出版社の統合が起こり、結果、消費者にとっては商品の選択肢が狭まるとあります。
コメント
一見すると、便利になり、安く購入できるが、結局は、消費者の不利益になり、消費者の不利益になるので、違法であるということのようです。
最近、グーグルが反トラスト法違反で提訴されるなどの大型の反トラスト法違反事件があり、米国の反トラスト法はやはり強いんだなと思いました。しばらくは、グーグルの話題が続くと思います。
グーグルの場合は、検索や広告連動広告などを考えると、市場を切りとるのが容易なので、シェアなども高く、独禁法の対象としやすいですが、アマゾンの場合は、全ての小売りなら対象が大きすぎますし、配本ビジネスとしても大きなパイがあるので、シェアなどからは、反トラスト法違反とはなりにくいように思います。
それでも、反トラスト法違反になるという部分はあるのかもしれません。何が本当に消費者の利益になるのかという視点が、重要なんだろうと思います。
新聞に紹介されていた論文は下記でしょうか。日本語で「アマゾンの反トラスト・パラドックス」と入れると、簡単に出てきますね。
Yale Law Journal - Amazon’s Antitrust Paradox
まずは、日本語に機械翻訳でもして概要をみて、面白そうなら英語を読んでみたいなと思いました。引用が458個もあるので、大論文です。
まあ、日本の独禁法も体系的に理解できている訳ではないので、米国論文を見ても理解できるのかどうか不明ですが、ちょっとだけ見てみようと思いました。
ちなみに、リナ・カーンさんは、英国ロンドンでパキスタン系の両親から生まれ、11歳で米国に移住と紹介されていました。