2020年10月28日のドライバーWebで、トヨタがオペルにコルサ商標を譲渡したという話が載っていました。
トヨタがついに商標を譲渡。オペルがやっと本名「コルサ」を名乗れる! | ドライバーWeb|クルマ好きの“知りたい”がここに
- オペルは、2021年後半、日本市場に復帰
- ハッチバックの「コルサ(CORSA)」は、トヨタがコルサの商標を持っていたため、別の車名になるとみられていた
- 2020年8月にCORSAの商標をトヨタがグループPSAジャパンに譲渡
- 「コルサ」の名前で行くことが決まった
- オペル・コルサは日本国内では「ヴィータ(VITA)」と名乗っていた
- トヨタ・コルサは生産終了から約20年が経過。他社の使用は問題なしとの判断に至った
というような内容です。
コメント
Wikipedia によると、トヨタのコルサは、トヨタ発の前輪駆動車で、ターセルという姉妹車があります。コルサをWilipediaで検索すると、由来などがありました。
イタリア語の、「疾走、競走」から。
ちなみに世界市場ではGMグループがオペルブランドにて『コルサ』の名称で1982年から小型乗用車を販売している。 1990年代に「オペル・コルサ」が日本で発売された際には商標の問題により「ヴィータ」という車名で販売された。
オペルは、2017年からGMグループではなく、フランスのプジョーシトロエングループ(グループPSA)になっています。オペルはドイツの会社です。
さて、トヨタのコルサが登場したのは、1978年であり、1999年まで続いたとあります。
グローバルでの発売開始時期は、トヨタが1978年で、オペルが1982年ですので、トヨタの方が4年早くトヨタに多少の分があります。
しかし、オペルのコルサは、1982年から2020年まで、ずっと続けている訳であり、38年の継続となります。
一方の、トヨタは、最後が1999年ですので、使用を止めてから21年経っています。
商標登録は、3年なり5年なりすると、不使用取消(国よっては無効)となります(日本は3年です)。
1999年から3年というと、2002年です。それ以降は、トヨタの新車としては不使用です。
しかし、自動車用の補修部品のビジネスがあったり、自動車の周辺の事業は相当長期に継続します。
また、中古車がありますので、今でも検索するとトヨタのコルサは出てきます。
見てみるとカーセンサーでは2台販売しています。
自動車の不使用取消審判は、この中古車が分かり難いなと思います。
中古車として流通している限り、社会的には、トヨタのコルサは、まだ生きています。補修部品があれば、メーカーがコルサブランドを使っていると言えるかもしれませんが、補修部品などは、生産終了後20年なら20年で打ち切りかもしれません。そうすると、この20年+3年が、通常は商標権を維持する限度となります。
(商標出願を出し続けるという手法を除きます)
中古車市場を見ると、まだまだ現役ですが、トヨタが、カーセンサーに、コルサの使用をライセンスしているという関係はありません。そうなると、市場ではトヨタのコルサが流通しているのに、トヨタは使用証拠を提出できず、不使用取消がされるという結果結果になります。
今回、オペルへのコルサ商標の譲渡にあたり、オペルが、トヨタやトヨタのコルサユーザーに商標権侵害を追求するということはないでしょうが、
もし、トヨタが1999年の清算終了後に商標権を更新せず、全くの第三者がコルサの商標権を取得した場合、その第三者は、トヨタのコルサを販売しているカーセンサーに対して、あるいは、トヨタのコルサを使用している個人に対して、商標権侵害を追求することができるのかは論点だろうと思います。
個人は「業として」の使用ではなく、そもそも、商標(マークではあるが、商いのマークではない。よって、商標ではなく、商標権侵害ではない)として問題なしとできそうです。
一方、カーセンサーの販売は「業として」ですので、商標ではないとして、切ることはできません。
そうなると、中古車市場で流通している限りは、中古車業者としては、メーカーに商標権を維持してもらいもらい、権利者のメーカーが黙示の許諾を与えていると構成して、不使用取消に対抗できるようにして欲しいとなるのではないかでしょうか。
ただ、使わない商標をいつまでも保有するのはコストがかかりますので、20年というのはちょうど良い時期なのかもしれません。