Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

吉野家が「いらっしゃいませ」から「こんにちは」に

セルフ式店舗でも、客とのコミュニケーションを

2021年4月23日の朝日新聞に、吉野家がセルフ式の新店舗が増える中において、来店客へのあいさつを「いらっしゃませ」から「こんにちは」に変えたという記事がありました。

  • 社長の発案
  • 2019年9月にマニュアル改訂
  • かなり浸透してきた
  • カフェスタイルの新店舗「クッキング&コンフォート」が増加
  • 事前に注文と支払、料理も客が運び、店員との接点はすくない
  • 「いらっしゃいませ」を、「こんにちは」に変えて、会話が生まれることもある

とあります。

 

コメント

この話、小さな話なのですが、BI(Behavior Identity)の一つと考えることもできます。

社長の発案で、1年半の時間をかけてじっくり浸透させたというのも、BI推進としては、良いのではないかと思いました。

 

魚河岸横の牛丼店からスタートした吉野家ですので、威勢が良いところがありました。

カウンターまで注文を取りに来ることや、お勘定を後にすること、元気のよい掛け声、お茶の出し方などに出ているように思います。

食券を券売機で買うのとは、だいぶ違うように思います。

 

しかし、最近は、「黒い吉野家」と言われる店舗が増えているようです。

その特徴は、カフェのような内装で、ファストフード店のようにカウンターで注文して受け取るセルフサービスで、ドリンクバーがあったり、女性や年配の人が入りやすい店舗ということです。あじフライや唐揚げのようなフライものもあるようです。

【2020】黒い吉野家の店舗を都道府県別に調べてみた!メニューや設備についても | ちぇりっしゅライフ (cherish06.com)

 

東洋経済に、デザインを担当した外部デザイナーの記事がありました。

「黒い吉野家」デザインが開拓した意外な新客層 | 外食 | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準 (toyokeizai.net)

シニア女性、女性の一人客など、これまで取れなかった客層が来店しているそうです。

 

ここまで、内装や運営方法を変えるなら、いっそのこと、看板の色を変えるのではなく、ブランド自体を変えても良いように思いますが、それはしないようです。あくまで牛丼の吉野家の派生形ということのようです。

 

コロナ前の2019年頃から記事がありますので、コロナ対策ではなく、その前から、吉野家が自ら変化を始めていたようです。

改装を通じて、数年先には全店舗の3分の1を黒い吉野家にする予定だそうです。

【2020】黒い吉野家の店舗を都道府県別に調べてみた!メニューや設備についても | ちぇりっしゅライフ (cherish06.com)

 

セルフサービスにすることで、人手不足に対応でき、人件費が抑制されます。

また、人口の半分の女性を客層として取り組むことができるとすると、都市部のオフィス街を中心とした出店から、地方やロードサイドへの出店も可能に、事業の幅が広がります。

 

さて、冒頭の接客時のあいさつですが、これだけで変わるものではありませんが、客や社員にブランドの変化を気づいてもらうには、良い方法だろうと思います。

 

しかし、カフェスタイルの黒い吉野家が全体の3分の1で、従来型のオレンジの吉野家が3分の2残ります。

そこでも、「いらっしゃませ」という威勢のよい挨拶から、「こんにちは」というあいさつに換わるのでしょうか。

最近、吉野家に行くことが少ないのですが、今度、確かめてみようと思います。