Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

アパレル、小売りのサプライチェーンの生産履歴管理

ブロックチェーン技術で本格的になってきた

2021年5月21日の日経に、衣料・小売りでの履歴管理が厳格になってきたという話があます。

中国・新疆ウイグル自治区などの人権問題に対する目が厳しくなっているためであり、アダストリアが生産工場を公表し、ワークマンが縫製工場や生地の素材工場について外部監査を実施するとあります。

衣料・小売り、履歴確認厳格に 供給網、人権問題リスク: 日本経済新聞 (nikkei.com)

 

  • 1997年に米国系アパレルで生産委託先の工場(インドネシアベトナム)で児童労働が発覚し、5年で約1兆3,000億円の売り上げ減
  • アパレルでは、ファーストリテイリングなどが、生産地の工場を開示していただけだった
  • 人権侵害、労働環境について、外部監査を実施し、開示
  • そのユニクロのシャツが、ウイグル自治区の団体の綿を使ったとして米国の輸入禁止措置
  • 外部監査だけでは人権侵害にならないという理由にならない
  • ブロックチェーンに供給網のデータを管理するためのルール作りが開始(USコットン・トラスト・プロトコル)。改ざんできない
  • 小売業でも、生産履歴確認
  • イオンがコーヒーについて、国際フェアトレード認証を取得し、児童労働がないことを証明
  • J・フロントリテーリングが、サプライチェーン上の人権リスクを把握、開示

とあります。

 

コメント

この記事は、先日のユニクロの新疆ウイグル綿の記事のまとめ記事です。 

nishiny.hatenablog.com

 

ブロックチェーンで、生産履歴管理や流通の管理が可能になるというものですが、仕組みはよくわかってないのですが、もしこれができるなら、模倣品対策でも使えそうです。

 

2000年頃に模倣品が社会現象になったとき(実はそのときは、中国の模倣品のピークは終っていたという説もあります)、ブランドロゴやⓇの文字に製品が真正品であるという情報を入れようとか、RFIDに情報を格納できないかなど、技術的な側面から議論していたこともありますが、特に進んでいなかったのですが、USコットン・トラスト・プロトコルが、ブロックチェーンの技術で綿の履歴管理ができるなら、完成品である工業製品の管理など、簡単にできそうです。

 

綿は、一定量を混ぜることが可能ですが、工業製品ならそんなことはできません。工業製品なら、RFIDをつけて、暗号化しておけば、真正品であることは確定できますが、原料で、混ぜることができる綿でどうするのかなと思います。

 

この仕組み、非常に重要であり、商品の真正性がブロックチェーンで担保できるなら、商標の出所表示機能や、出所混同、品質保証といった機能といった、もののは商標ではなく、ブロックチェーンが引き受けるものとなり、商標は宣伝広告機能を中心としたものになります。

 

傾向としてはその傾向がありましたが、本当にそうなるのかもしれせん。