Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

倫理研修

3回目の受講

2019年8月31日、弁理士会館で、5年に一度の倫理研修(集合研修)を受講してきました。その2日前に、研修事務局から事務所に電話があり、集合研修を受けるには、その前に倫理研修のeラーニングを受講していることが必須で、5時間聞かないと受講できないとのこと。

金曜日は、夏休みにしていたのですが、この日をeラーニングに充てることで、何とか5時間の事前受講を終了しました。テストもあるので、実際は、6時間かかります。

 

さて、集合研修は、課題を渡されて、5名のグループで、グループワークをして、各グループから発表するという形式です。

この研修、受けるのは3回目です。以前もグループワークだったのは覚えているのですが、どんな内容を議論したかまでは定かではありません。

 今回も、5時間超の集合研修で、5問の課題を検討しました。

 

学生時代に弁理士試験に合格したため、登録番号が古く、この種の場所は登録番号順なので、いつも古参の方の席になってしまいます。古参の割には、これまでの経歴が理由ですが、弁理士倫理を良く分かっていないので、ギャップがあるなと思ってしまいます。

 

さて、メモしたのは、

  1. 中途受任は、安易にするとトラブルになる(ここは先輩の弁理士から教えてもらうところ)
  2. 補助者が弁理士名義で出願をやっていたとして、これが非弁理士の名義貸しの禁止に該当するという考えがある(※名義貸しではないというのと、両説ある。弁理士名でやっていても、実質的な名板貸しになるという考えがあるそうです。こここは、そういう考え方もあるのかと、はじめて?知りました。)
  3. 冒認出願の出願を担当すると、処分が厳しい(※再確認しておくように言われました)
  4. 顧客とライバル関係にある会社の出願ができるかどうかは、弁理士法31条の問題ではなく弁理士倫理3条、「独立の立場に疑問を持たれる」の問題(※無効審判などの本来のコンフリクトと、この話は、別物であり、同意があれば良い。まあ、そうですよね。)
  5. (ややこしい人には)一人で会うな

特に、講師が強調されていたのは、弁理士会に相談がくるのはお金の問題。どこかで折り合いの付くところを見つけるべきというの点と、コンフリクトよりも冒認への加担に要注意ということでした。

 

私にとっては、一番、難しかったのは、中途受任の問題です。弁理士同士の私的自治で、客先に迷惑をかけないように、できるだけ弁理士同士で調整しようという発想は、現在の企業は持ち合わせいないように思いました。

必要な情報は簡単に入手できましし、顧客企業のDBや電子ファイルは特許事務所よりも、ずっと完備しています。今の情報化社会を前提にすると、少し、旧態以前とした考え方になってしまっているかもしれないなと思いました。

 

5名のグループの構成は、女性が2名、男性が3名。名刺交換したのですが、特許事務所勤務が2名、企業・公務員が3名。日常、特許や商標にタッチしているのは3名で、2名は研究職や別の仕事です。

私も、2年半前までは、企業のブランドマネジメントですので、特許事務所や企業の知財部ではありません。

ここ数年の弁理士試験の合格者を見ても明らかななように、弁理士は、既に特許事務所の資格ではなくなっています。

 

弁理士倫理自体が、委任や受任などを中心として形成されてきたのだと思いますが、現在の環境・弁理士の姿に必ずしもマッチしていない面があるのではないかと思いました。

50%が企業勤務、30%が事務所勤務。特許庁関係の仕事以外が半数を超えてくるという前提で、新しい弁理士倫理が必要になってくるのではないかという気がしました。