Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

世界キャラクターさみっとin羽生2017

ゆるキャラ360体が集合

2017年11月25日の日経夕刊で、世界のゆるキャラが集まったサミットが開催されたというニュースを見ました。 

www.nikkansports.com

  • 世界キャラクターさみっとin羽生 2017
  • 国内外から約360体のゆるキャラが集合
  • 埼玉県羽生市の羽生水郷公園。25日、26日開催
  • 愛媛県今治市の「いまばりバリィさん」と栃木県佐野市の「さのまる」。ゆるキャラグランプリ歴代王者が参加
  • 今年ゆるきゃらグランプリ2位に入った愛知県知立市の「ちりゅっぴ」も参加
  • 米国やドイツなどのキャラクターも参加登録
  • イベントは今年で8回目

 

 コメント

この記事は、共同通信の記事のようで、各マスコミとも同じ内容です。 

 

Wikipediaによると、 世界キャラクターさみっとin羽生は、2010年からスタートしたもので、当初は「ゆるキャラさみっとin羽生」と言っていたようです。2014年からは現在の「世界キャラクターさみっとin羽生」に改称したとあります。

 

2015年と少し古いですが、この間の事情を説明した記事が産経新聞のWeb版にありました。

www.sankei.com

この記事によると、ゆるキャラグランプリと、羽生の「さみっと」は、もともとは一つのイベントだったようです。

発端は、羽生市が自らのゆるキャラを使って街おこしをしようと、「ゆるキャラさみっと」を開催したことです。

ゆるきゃらグランプリ側も、この「さみっと」で、順位の発表や表彰式を行っていたところ、数年後、グランプリの実行委員会側が「全国各地でイベントを展開したい」として他県での開催になりました。

そして、日程の重複があり、羽生市の「さみっと」への参加が減ってきているという事情のようです。

 

ゆるキャラの理念として、地域振興、街おこしがあるとすると、色々な街でイベントを行う方が良いようには思いますが、羽生のイベントは成功しているようなので、これはこれで継続ということなのでしょう。

 

ただ、見た感じでは、双方に争いがあるというほどのものでもなく、共存しているようにも思えます。

例えば、今年は、10月19日に三重県のナガシマリゾートでゆるキャラグランプリの発表があり、10月25日、26日に埼玉県の羽生市で世界キャラクターさみっとin羽生2017ですので、一応、日程的には棲み分けているようです。

 

Wekipediaの受け売りですが、「ゆるキャラ」の欄の「批判」という項目に、 ゆるキャラについては、キャラクターが濫造されてしまい、逆にインパクトが弱くなっているという批判があるという紹介記事がありました。

また、ゆるキャラ界も、生き残りが厳しいという記事は沢山ありました。

 

ゆるキャラ関連の法的保護ですが、名称は商標登録していることがほとんどのようです。キャラクターのデザインは、著作権で良い(何もしなくても独自創作であば一定の権利がある)とするのか、商標登録するかです。

商標登録する場合は、通常の平面商標もありますし、立体商標もあります。

自治体が商標出願の名義人になっていることも多いようです。 

 

nishiny.hatenablog.com

 

ゆるキャラグランプリ2017

成田の「うなりくん」に

2017年11月20日の朝日新聞に、今年のゆるキャラブランプリの結果が出ていました。

www.asahi.com

  • 「ゆるきゃらグランプリ2017」の結果が19日、ナガシマリゾートで発表
  • 千葉県成田市の「うなりくん」がご当地部門(自治体など)の1位
  • 2位は愛知県知立市の「ちりゅっぴ」
  • 3位は大阪府東大阪市の「トライくん」
  • 企業部門を含め、1158体がエントリー
  • ネット投票と会場での直接投票(2日間)の合計で決定
  • うなりくんは成田空港の航空機と地元名産のウナギから
  • ちりゅっぴは在原業平が詠んだことで知られるカキツバタや和菓子の「あんまき」から
  • トライくんは東大阪市にある花園ラグビー場から

コメント

Wikipediaによると、ゆるキャラグランプリは、2010年から開催され、今回が8回目のようです。第2回めの2011年は、「くまモン」が1位になっています。

 

ゆるキャラ」の提唱者である、みうらじゅん氏は、「ゆるキャラ」の条件として、以下つぎのような条件を挙げているようです。

  1. 郷土愛に満ち溢れた強いメッセージ性があること。
  2. 立ち居振る舞いが不安定かつユニークであること。
  3. 愛すべき、ゆるさ、を持ち合わせていること。

また、「原則として着ぐるみ化されていること」必要なようです。

 

また、2017年現在、「ゆるキャラ」の商標管理は「ゆるキャラ®グランプリ実行委員会」と「株式会社ゆるキャラ」になっているとあります。

 

ゆるキャラグランプリ」あるいは「ゆるキャラ」という商標の利用については、契約が必要なようです。下記に、説明があります。

www.yurugp.jp

個々のゆるキャラ(例えば、「くまモン」)がブランド価値を持っているのと同様に「ゆるキャラグランプリ」、「ゆるキャラ」という言葉も、価値があるということでしょうか。

 

ただ、「ゆるいマスコットキャラクター」の略称が「ゆるキャラ」と世間一般に認識されているように思います。

 

ゆるキャラグランプリ」は、特定の大会を指しますので、これを勝手に使ってはだめというのは理解できますが、「ゆるキャラ」という言葉をどう使ったらOKで、どう使ったらNGかは、分かりにくい話です。

ゆるキャラの「ぬいぐるみ」があったとして、そのタグに「ゆるキャラ」「ゆるキャラグランプリ」と書いたような場合は、商標権侵害になるので、契約が必要ですよという趣旨でしょうか。

 

いわゆる商標の普通名称化の問題ですが、権利者側も厳しい運用は負担がかかりますので、柔軟な運用をせざるを得ないのではないかと推測します。

 

J-Plat Patで「ゆるキャラ」の検索をすると、文具類の扶桑社の権利と、写真・写真立ての(有)みうらじゅん事務所の権利が一番古いようです。重要そうな、41類や35類は、(有)みうらじゅん事務所が権利をもっています。

 

なお、ゆるキャラグランプリの大会自体は、ゆるキャラグランプリ実行委員会が行っており、扶桑社が特別協賛とあります。

 

また、日本ご当地キャラクター協会という団体もあり、「ふなっしー」は、こちらの代表選手のようです。

(一社)日本ご当地キャラクター協会

 

両者の関係性は、取材でもしないとわからないのですが、後者はキャラクターの支援団体のようです。役割がちがうのでしょうか。

 

副業容認

モデル就業規則の見直し

2017年11月21日の朝日新聞に、厚生労働省が会社員の副業や兼業をしやすくするために、企業が参考にしている「モデル就業規則」を見直す方針を固めたという記事がありました。

www.asahi.com

モデル就業規則から、副業や兼業を禁止する項目を削除して、原則として容認することですが、長時間労働是正の動きに逆行しかねないという懸念があるようです。

11月20日の有識者会議では、モデル就業規則の改定案が公表されたようです。

  • 「許可なく他の会社等の業務に従事しない」という項目を削除し、
  • 「勤務時間外に他の会社等の業務に従事できる」「事前に所定の届け出をする」に差し替え、とあります。

許可制が、届出制になります。

2014年の中小企業庁の調査では、現在副業・兼業を認めている企業は14.7%で、少ない理由は、「本業がおろそかになる」「情報が漏れるリスクがある」という理由のようです。

一方、経団連長時間労働の是正の重要で副業・兼業の推奨に違和感がある、連合は弱いものを守る視点が必要、と言っているようです。

そのため、厚労省は、ガイドラインも同時に提示し、副業・兼業先の労働時間を従業員に申告させるなどを検討しているようです。

また、厚労省は、テレワークに関してガイドラインを出すようです。休日や深夜はメールの送信を控え、社内システムにアクセスできなくするなどの働きすぎ防止策を企業にもとめるようです。

 

コメント

最近は、政府の方針もあり、サイボウズリクルートロート製薬など、大手企業も副業をOKとしてきています。Webデザイナーなど副業に向いていますし、特許の明細書の作成も向いていると思います。最近流行のボランティアのプロボノと、副業・兼業の差は、対価があるかどうか程度です。

 

一般的に、これまで、副業・兼業が認めらていたのは、①家が農家で休日に農業をすること(兼業農家)、②家に不動産がありアパート・マンション・駐車場を経営すること、③株式等の投資、というものだったと思います。

①はだいぶ時間をとりますが、良い気分転換になるのかもしれません。②はあまり時間をかけずに収入を得ることが可能です。③は得をすることもありますが、損をすることも多いものです。

 

時折、専門能力を買われて、会社の許可を取って、大学に講師で行っている先輩方がおられましたが、勤務時間内に行っているということで、収入は会社に入金するようにしておられました。こちらは、休日にだいぶ準備をされていたのではないかと推察します。

 

論文を雑誌に投稿すると、謝礼がありますが、論文執筆に本代やコピー代がかかるので、こちらは個人に入ることが多いのではないでしょうか。

 

知財協会や弁理士会の委員会活動も、休日に宿題をする場合もありますが、これはお金が発生しないので、副業ではありません。

 

現在、言われている副業・兼業の積極面は、「リカレント教育」の一つになることで、個人の経験が増え、能力が向上し、労働の質が向上するというものです。例えば、2017年11月15日の日経の経済教室のような考え方です。

www.nikkei.com

 

そもそも、副業禁止は、憲法職業選択の自由との関係で、問題のあるものです。そのため、法律には書きにくいので、モデル就業規則に書かれ、それを会社の人事担当者がまるで法律のように、国のモデル就業規則にあるのだからと説明してきたと理解してます。

 

副業で本業に悪影響があるなら、事後的に、人事考課なり、処分なり、情報漏洩の裁判なりで、対応すべきものです。従来のモデル就業規則は、企業要望の忖度です。本来、オープンであり、その本則にもどすだけだと思います。

 

副業がオープンになると、企業や事務所に勤務する弁理士は、休日に友人の会社の特許出願・商標出願を手伝うことができ、普段やっていない仕事にタッチするなど、経験を広げることも可能になります。

特許の明細書作成とか、商標の相談とか、副業に向いているタイプの仕事です。自宅から電子出願で特許出願・商標出願をすることも、それほど、難しいことはありません。

特許の相談から、一緒に事業をやろうということになるかもしれません。

弁護士の業務は、相談や契約書作成は可能ですが、裁判所が土日が休みですので、法廷には立てません。

一方、特許出願は、オンラインで、休みはありません。休日をどう考えるかはありますが、本質的には、特許は副業に向いているタイプの仕事だと思います。

 

機密漏洩ということについては、手伝った会社の機密が個人の頭に入ってくることはあっても、しゃべらなければ、こちらの機密が出ることはありません。

 

この点、特許庁弁理士会も、副業をしやすくするというようにルールを変えていく必要がありますし、企業や特許事務所も同じです。調べていないので、なんともいえませんが、もともと、ハードルは、企業や事務所の就業規則だけかもしれません。

 

面白いニュースとしては、裁判官のアパート経営でNGが出たというケースです。相続した不動産の運用ではなく、積極的に経営されていたようです。5年で50件で兼業許可申請があり、拒否はこの1件のみとありました。裁判官には、廉潔さが求めらるということが理由のようですが、不動産投資はあまり時間がかからないものですので、そこまで厳しくしなくても思います。

www.nikkei.com

 

ビジネス裁判所の誕生

2021年、中目黒に

2017年11月21日の日経に、ビジネス関係を専門的に扱う裁判所「ビジネス・コート」が2021年に東京中目黒に誕生するという記事がありました。

www.nikkei.com

  • ビジネス関係訴訟を専門的に扱う「ビジネス・コート」が2021年に誕生
  • 企業関係の訴訟や手続きを扱う知的財産高裁や東京地裁の関係部門が移転
  • 中目黒駅近くの庁舎跡地に、「東京高地裁中目黒分室(仮称)」を建設
  • 知的財産高裁のほか東京地裁の「知財部」、会社更生や株主代表訴訟などを扱う「商事部」、民事再生や破産手続きを担当する「破産再生部」が移転
  • 背景に、当事者が海外の企業であるなど、国際取引に絡んだ複雑な訴訟が増加
  • 一方、産業界では「日本の裁判所は使いにくい」とのイメージが根強い
  • 大きな要因の一つが審理や手続きのIT(情報技術)化の遅れ
  • テレビ会議システムで遠隔地の裁判所などと結び、弁護士らが上京しなくても打ち合わせをできるようにする
  • 争点整理や審理のスピードアップを図る

 

コメント

現在の東京地裁は、東京高裁は、霞ヶ関の同じ場所にあります。ビジネス裁判所を作っても、裁判官交流等が現在よりも活発になる訳ではありません。

 

ビジネス裁判所の移転に応じて、知財やビジネスを専門に扱い法律事務所も、霞ヶ関あたりから、中目黒方面に移転を検討するかもしれません。家賃も安くなって、広い物件があるなら、それはそれで良いことだと思います。

 

さて、知財では、裁判所漁り(フォーラムショッピング)が多く、アメリカのテキサス州や、ドイツなど、訴えやすく、制度の使いがってがよいところで裁判が多くなるのは、当然です。日本だけのローカル案件を除き、グローバル案件は、結局、そちらに訴訟が流れます。

 

いくら、日本の裁判所が、公平な裁判、質の高い裁判と言っても、原告敗訴の裁判をしているようでは、日本の裁判所で、グローバルな裁判を起こす原告が増えるはずがありません。望ましくは、判決内容を原告有利に持って行くことと、その次に、半年程度で判決がでるようにすることです。

 

もう一つ、検討が必要なのは、裁判手続きを英語ですることです。日本国特許庁では、だいぶ前から、PCTではなく、通常の日本特許出願が、英語でも可能です(外国語書面出願、これはのちに、翻訳文を要求しますので、完全ではないですが)。また、最近は、医療現場では英語のできる医師や看護師が必要になっていますし、刑事事件でも外国人の絡む犯罪では外国語は必要になっています。

 

知財裁判を英語でできるとすると、海外企業の使い勝手は格段に良くなります。海外の企業が、在外日本公館で、ビジネス裁判所でテレビ会議でアクセスし、裁判官、弁護士も英語で議論し、判決も英語で出て、その後、日本語に翻訳されるというレベルになれば、シンガポールに負けません。

 

今やポリコムでのTV会議システムなどを使った、海外とのテレカンファレンスは、企業では、非常に一般的ですので、在外の大使館を借りてのテレビ会議裁判に違和感はありません。

 

そうなると、海外案件については、裁判所の営業時間を変更すべきとなります。アメリカとなら早朝。欧州なら夜。アメリカと欧州を結んだものなら深夜。日本企業も、海外関係のビジネスでは、こんな時間のテレカンファレンスも一般的です。日本の裁判所も、本気ならそこまでやれば良いと思います。

 

判決文は英語で欲しいですが、法廷では通訳を、活用する方法もありますので、やって出来ないことはありません。AIに仕事を奪われかねない通訳業界も協力してくれるのではないでしょうか。

 

昔の司法試験合格者は、英語が得意出ない人が多いと思いますが、若い人なら英語が得意な法曹関係者も多いですし、海外の法律事務所で、活躍している日本の弁護士を数名呼び戻せば、簡単に出来そうです。

 

ビジネス・コートと名を打っても、IT化だけでは不十分です。ここまでやると本気が伝わります。

行ってきました(ドリームの映画)

タイトルの話です

2017年11月26日の日曜日に、横浜のムービルに「ドリーム」を見に行きました。この映画、ロードショー開始のときから行きたかったのですが、今頃になってしまいました。神奈川県では、もう平塚とムービルしかやっていません。

ムービルの座席が綺麗になっているのは知っていましたが、座席が前後ジグザグではなく、また床面が階段状になっておらずフラットで、映画が見にくいという印象がありましたが、あまりお客さんがいなかったので、前後左右、独り占め状態で、何の問題もなく映画が見れました。

www.foxmovies-jp.com

映画は、NASAに勤務する黒人の優秀な女性3名が、アメリカの有人衛星の打ち上げに多大の貢献をするというものです。3名いますが、メインは、数学の得意な計算係のキャサリンです。後の2名は、一人がコンピュータルームの管理職になる女性で、もう一人がエンジニアです。

内容は、映画会社のWebサイトのストーリーにある通りです。感動的に描かれています。女性のサクセスストーリー、人種差別問題、宇宙開発と、一つでも立派な映画が十分できるテーマが、三つも詰まっています。

 

昨年、アメリカでは、観客動員数では、ドリームが、ラ・ラ・ランドを超えたようですが、それも分かるという内容です。

日本では、それほど、人気になっているとは聞きませんが、ヤフー映画のレイティングは、4.2と高いものでした。

 

この黒人女性、3人が3人とも、非常に能力の高い人です。もともと強い女性が、戦って、社会に貢献したり、地位を勝ち取るという、サクセスストーリーです。

 

映画で何回も出てくるのは、トイレのシーンで、研究棟には有色人種用のトイレしかなく、キャサリンが計算棟に何回も駆け込むシーンが描かれています。それに関係したキャサリンの爆発と、上司の行動は、映画としては見所でした。

 

さて、この映画の日本語タイトルについては、話題があります。

www.buzzfeed.com

この映画、原題は、「Hidden Figures」です。

 

一つの話題は、当初、配給会社が、邦題の「ドリーム」に、「ドリーム/私たちのアポロ計画」とサブタイトルがあったことです。しかし、この映画が描いているのは、アポロ計画の前のマーキュリー計画であり、ネット等で非難があったようです。供給会社は、非難を受けて、公開前に「私たちのアポロ計画」を削ったというものです。邦題は、日本人に分かりやすくすべきですが、ちょっとやり過ぎという指摘です。

 

もう一つの話題は、ドリーム=夢という前向きなタイトルと、原題の「Hidden Figures」との落差です。Hidden Figuresはダブルミーニングであり、一つは、「隠された人たち」で、もう一つは、「隠された数字」というものです。

前者は皆が知っている大計画の背後には知らなかった人達がいるということのようですし、後者は数字はうそをつかないという意味にもとれます。

Figureは、知っているけど難しい単語ですね。大きく、3つの意味があり、①姿(姿、体つき、人物、人間、傑物)、②図形(図、挿絵、模様、フィギュアスケート、象徴)、③数字(数字、数量、計算)とあります。

天才的な計算係の話ですので、「隠された傑物」「隠された計算」の意味が、より映画に近いのかもしれません。

 

最後に、もう一つ、このタイトル、「ドリームガールズ」を想起しました。黒人女性3名、歌が満載。何となく似ていますので、二番煎じの感がします。

 

ドリームも、悪くはないですが、出来れば原題でいけなったかと思います。

 

 

DENSOの室外機のブランドから

エコキュートのようです

 

自宅マンションの近所に出来た一戸建てに、エアコンの室外機があり、DENSOブランドがついていました。

ついに、Fujitus Tenに続いて、富士通ゼネラルまでデンソーの傘下に入り、DENSOブランドでのエアコンのOEM供給でも始めたのかと思いました。

 

エアコンの室外機は、家電製品の中では、家の外に設置されるという意味で、特殊な商品です。すなわち、家電は、通常は家の中のものですので、あまり知られていないメーカーのものでもOKですが、室外機は家の外になり、車と同様に、どのメーカーを使っているのか、ご近所にもろに知られてしまいます。

 

そのためでしょうか、海外では、室外機のブランド表示を非常に大きくしてくれという要望がよくあります。外国製品(日本製品)を使っているんだと、近所に知ってもらいため(自慢したいため)と聞きました。

 

しかし、調べてみると、今回の私のご近所の製品は、エコキュートの室外機のようです。デンソーは、カーエアコンの事業はありますが、家庭用エアコンの事業はないようです。

一方、Wikipediaによると、デンソーは、エコキュートの基本特許を持っている会社で、デンソーのWebサイトに、エコキュートのラインアップされていました。

 

デンソーエコキュート開発物語|テクノロジー|自然冷媒給湯機エコキュート | デンソー

こちらのデンソーのWebサイトに、デンソーエコキュートの関係が、すこしドラマチックに解説してくれています。

 

元々、カーエアコンの次世代冷媒を探しており、CO2に行きつき、東京電力電力中央研究所と共同研究して、エコキュートの技術を確立したようです。

 

このデンソーのWebサイトによると、技術はデンソーが開発したが、販売ルートに課題があり、複数の住宅市場に強い設備機器メーカーのブランドで販売し、デンソーは、基幹部品の給湯機本体を製造供給することになったとあります。そういう関係なのですね。

 

また、Wikipediaによると、「エコキュート」の商標権は、関西電力がもっているとあります(商標登録第4575216号です)。この関係は良くはわかりませんが、オール電化に熱心な関西電力が商標権を持つということは、事業の推進のために必要だったのだと思います。

 

一般に、商標権は、特許に比べて、共有という概念になじみがありません。商標は、出所表示機能が基本と良いながら、複数出所の想定は、原理的に、出所表示機能とは相いれない部分があります。もちろん、複数で使用する場合も、品質表示は宣伝広告機能はありますので、商標の保護は必要です。

そのためでしょうか、特許ではあれだけある、共同出願は、商標では、さぱっりありません。

 

一般に、業界で共同して作った技術的な商標などは、共同出願するよりは、幹事会社を決めてその単独名義で出願することが多いようです。幹事会社は一社のときもありますが、複数の会社が国で割ることもあります。

 

あまり行き過ぎると、業界なれ合いになりますが、どこか突出した会社があり、全部面倒を見る場合以外は、分担も致し方ないという感じです。

 

この点、海外企業は、皆さん、技術ブランドの取得に熱心ですので、同じ技術に対して、我先に商標権を取得して、ノウハウをセットにしてパッケージ化して、ライセンスすることが多いと思います。

ノイズリダクションのドルビーなどが代表ですし、IEEE1394にアップルがFireWireと名付け、ソニーがi-Linkと名付けた事例(結局、このネーミング競争はソニーの勝ちでした)などがあります。必ずしも、特許をすべて持っている必要はありません。技術の規格をパッケージ化して、名前を付けて、商標権でライセンスを取れば良いのです。

 

ポイントは、規格のパッケージ力とネーミング力と商標権取得力です。

 

この観点で、エコキュートの商標権を見ると、なぜデンソーは基本特許をもちながら、商標権取得を関西電力に譲ったのかは、理解に苦しみます。

 

デンソーは他にも、QRコードの特許を持っており、規格も作ったのに、無償解放しています。普及をしたいため、課金しないということは理解できますが、今となっては、課金しておけばというところではなかったでしょうか。

 

ちなみに、J-Plat Patによると、「QRコード」の商標権は、(株)デンソーウェーブが権利をもっていますが、無効審判中とあります。こちらも、だいぶ、ややこしくなっているようです。

「AIで弁理士が失業」への反論

弁理士会副会長が説明

2017年11月16日 のIT Mediaに、先日の日経新聞で紹介されていた、野村総研とオックスフォード大学の共同研究で出てきた、「AIで弁理士が失業」という記事について、弁理士会の副会長の反論記事がありました。

www.itmedia.co.jp

 

問題となっている日経新聞の記事は、2017年9月25日、日本経済新聞が報じたもので、野村総研と英オックスフォード大学の共同研究で、「弁理士業務の92.1%がAIで代替可能」いうものです。

www.nikkei.com

AIに代替されるは、弁護士は1.4%の業務、弁理士は92.1%とあります。中小企業診断士への評価が高く、代替の可能性は、0.2%とあります。

www.nikkei.com

これに対して、10月9日の日経には、弁理士会会長の反論が出ています。弁理士の仕事を各種定型書類の提出と、中核の業務である特許明細書の作成に大別し、全社はAIで代替できそうだが、後者は一品料理を作るような極めて個別で創造的な仕事として、反論しています。

  • 発明者は発明の内容を理解しているが、特許として有利に記述するノウハウは持たない
  • 弁理士は発明者の話を聞きながら、その表情も読み取りつつ、明細書を書き上げていく
  • 当面、AIにできるとは思わない

とあります。

そして、5割は代替されるのか?という質問に対して、せいぜい4割と答えています。減った業務は、コンサルで補うとしています。

 

このような経緯のあと、今回、弁理士会副会長が、パワーポイントまで用意して、反論したようです。マスコミを集めた説明会でも開催したのでしょうか。

  • 弁理士業務は、発明者へのヒアリング、特許調査、明細書作成、商標登録出願、ライセンス交渉・契約、審決取消訴訟、侵害事件まで多岐にわたる
  • AIが得意な分野やAIに任せればよいが弁理士には、人間的な業務が多く、AIには向かないものがある
  •  定型的な書類作成や情報検索、統計的分析などはAIに向くが、対人スキルが必要な場面は人間の方がうまく対応できる
  • 人間とAIの協業に可能性がある

 

 コメント

日経の記事を読めば分かりますが、弁理士会会長の話は、記者の誘導というか、誤解があるようです。日経記者は、特許事務所を見学したことが無いのだ思います。

弁理士会会長が、各種定型書類の提出と明細書作成の2つに大別したので、50:50の比率と記者が早合点したようです。そのため、50%が無くなるやら、40%ぐらい無くなるという不毛な議論になってしまっています。

 

明細書の作成がAIにできるなら、訴訟の準備書面の作成や契約書の作成もAIにできるので、弁護士業務のAIで代替される比率は、1.4%ではなく、50%以上になるはずです。弁護士の業務で、AIにできないのは法廷に出ることぐらいですが、全体の中で比率は低いと思います。

 

たぶんですが、弁理士会会長は、定型書類の提出、いわゆる特許事務管理のことをイメージしたのだと思います。特許は、経理処理のようなものが、大量にあります。この点、確かに、そこは、AIで代替できるものがあると思います。この点、今でも、法律事務所などに比べれば、特許事務所のペーパーレスや機械化は進んでいる方ですし、事務管理のAI化は、どのような業種の企業でも同じように進展しますので、何も特許事務管理に限ったことではありません。ほとんどの民間企業が皆同じです。

 

誤解を放置しておけないということで、弁理士の業務は幅広く、また、分析・統計といったAIが得意な分野ではないヒューマンな要素が多いという、副会長の反論になっていると思いました。

 

弁理士会会長の説明を待つまでもなく、明細書作成は、今のところ、AIには無理です。アメリカでは、弁護士業務のうち、証拠開示(Discovery)でAIが使われているです。メールやサーバーにあるデータの解析ですね。

 

特許調査はAIが活用できる可能性があるのですが、翻訳よりも難しいのではないかと思います。その当時の技術水準の理解というものが、その道のプロの技術者でないと、できないと思います。技術者の頭は技術が抽象化されていると思います。

知財の調査系でも一番先に、機械化が進んだ、商標調査はどうかというと、審決のDeep LerningができればAIが貢献する可能性があるように思います。審決の膨大なデータはあり、AI化に向いているのですが、問題は、商標の事業規模が小さすぎて、AI投資をすることができないとい点です。

政府の予算でもつけて、実験的に商標のAI化をやる方法はありますが、より本質的に考えると、折角AIを使うなら、商標の著名性など検索エンジンと連動させて判断可能ですし(ブランドの認知度の判断を検索エンジンでやることも可能です)、商標制度そのものを、使用主義的に変更することが可能であり(商標使用の実際は、ある程度の情報がDesk Top分析で出ます)、そちらが先決ではないかと思います。

 

新聞記者は、知財業務でのAIの可能性を発見したいのだと思いますが、現状、まだではないでしょうか。

 

まったく違い意味ですが、IT Mediaに、本当のAIは、単純労働に影響するのではなく、ファンドマネジャーや医者、弁護士といった知的生産物を創造するナレッジワーカーにこそ影響するという話がありました。

看護師の仕事は無くならず、判断する医師の仕事は無くなるとあります。

それは、そうかもしれません。2045年にシンギュラリティが来るとの予測です。

www.itmedia.co.jp