Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

三菱東京UFJ銀行

「東京」が消え「三菱UFJ銀行」に

 2017年5月14日の日経と、5月15日の朝日新聞に、来年春にも、「三菱東京UFJ銀行」の社名から「東京」が消え、「三菱UFJ銀行(英語名:MUFG BANK)」となる旨の話が掲載されていました。

社名が「長すぎる」というとの声があったためとあります。

すでに、持株会社は、「東京」の名前を外しており、「三菱UFJフィナンシャル・グループ(英語名:Mitsubishi UFL Financial Group)」というようです。

1946年設立の東京銀行は、外国為替銀行として国際的に認知がたかったので、2006年に社名を決める際にも、「東京」の方が「三菱」より認知が高いとして残していたようです。

 

コメント

1996年に、三菱銀行東京銀行が経営統合して、まず、東京三菱銀行(英語名:The Bank of Tokyo- Mitsubishi, Ltd.)となりました。このときは、三井住友銀行(英語名:Sumitomo Mitsui Banking Corporation )のような日本語と英語をひっくり返す、たすき掛けではなかったので、良いと思いました。

しかし、2006年に、UFJ銀行と経営統合して、日本語社名の三菱と東京がひっくり返って、現在の三菱東京UFJ銀行(英語名:The Bank of Tokyo-Mitsubishi UFJ, Ltd.)となりました。これにより、「三菱東京」の部分の、日本語と英語がひっくり返っています。

なお、2006年からは、商標としては「MUFG」を前面に出しています。

 

「東京」が無くなるのが、どうかという件もありますが、そもそも「三菱」が必要という議論があります。現時点、この銀行のことを、「三菱東京UFJ」ではなく、単に「UFJ」と呼んで一般人が多いように思います。「MUFG」と呼ぶ人は少数派でしょう。

 

ブランド戦略としては、社名よりも、商標をまず優先して考えるべきです。今回、社名を「三菱UFJ」にしたとしても、一般の人は、「UFJ」と呼び続けると思います。

英語の「MUFG」というブランドと、日本語の「UFJ」というブランドは、共通点は、「U」「F」だけです。これで良いとは思えません。

Mitsubishi」を残して、三菱グループの結束の役に立てたいという趣旨は分かりますが、他の方法(formely known as ...を徹底することや、スリーダイヤの活用)で対応する方が、良いのではないでしょうか。一般的には、スリーダイヤは三菱資本が過半以上で、社名に「三菱」がついていない会社には、NGなのだと思いますが、今回は、特別に例外として認められないものでしょうか。

 

どちらにせよ、来春であれば、まだ時間があると思いますので、社名は考え直された方が、良いと思います。

そして、今回、折角、社名変更するなら、社名も「MUFG」以外ないと思います。英語名は、「MUFG BANK」にするということなので、日本語も「MUFG銀行」にすべきです。そうでないと、数年先に、また、この議論となることは必至です。  

ちなみに、昨年大連に出張したとき、もう一つの外国為替銀行の横浜正金銀行の大連支店の建物が大切にされていました。この横浜正金銀行東京銀行が実質的に承継して、外国為替銀行となったようです。

旧横浜正金銀行ビル - Wikipedia

 

追伸:この件については、FaceBookにも挙げてみました。さっそく、返信がありました。お二人からですが、長い目で見て、やっぱり残るのは「三菱」ではないかという意見でした。最終、どうなるでしょうか。