2021年4月15日の日経で、中国の「新疆産」関連の取引で、難しい対応を迫られているという記事がありました。
無印良品、新疆綿の取引継続 社長は質問に答えず: 日本経済新聞 (nikkei.com)
- 無印良品は、プレスリリースで、「新疆綿」を使った衣料品の販売を続けると発表
- 人権問題を重視する消費者や機関投資家の目が厳しさを増している
- ウイグル産綿花の取引継続を表明したことを受けて、株価は、7%安に
- ファーストリテーリングの柳井正会長兼社長も、決算記者会見で、ウイグル問題に関してはノーコメント
- 連結業績が好調だったにもかかわらず、株価は3.3%安
- 一方、カゴメは、新疆ウイグル自治区で生産されたトマト加工品を製品に使うのをやめるが、中国本土での売上高はグループ全体の0・4%のみ
- 良品計画にとって中国は売上高の2割
- ファーストリテーリングも売上高で台湾と香港を含む中華圏の割合は2割強
- 難しいかじ取りを迫られている
とあります。
コメント
スウェーデンの衣料品大手のH&Mやナイキが、新疆産の綿を使わないとしたことに対して、中国でボイコットが起こったという話がありました。
中国、ウイグル批判巡り反発 H&Mやナイキ標的に: 日本経済新聞 (nikkei.com)
なぜ新疆ウイグル自治区産の綿を使うといけないのか、ということですが、強制労働があるかどうかが論点のようです。
中国「新疆綿」収穫で強制労働、ウイグル人ら57万人超を動員 報告書 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News
ウイグルに強制労働があるのかどうかですが、それについては、次のNewsweekの丸山東大教授の話が出ています。
新疆の綿花畑では本当に「強制労働」が行われているのか? | 丸川知雄 | コラム | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト (newsweekjapan.jp)
これを見ると、綿花畑でのウイグルの強制労働という問題自体については、事実に反するようです。
一方、ウイグル人については、強制労働以外の論点である、再教育キャンプや、産児制限などは、別の問題として存在するようです。
新疆ウイグル弾圧、ジェノサイドか世紀のデマか(2021年2月25日)|BIGLOBEニュース
ウイグル問題については、2022年の北京冬季五輪オリンピックのボイコット問題まで出てきています。
IOC会長、22年北京冬季五輪ボイコットに自制呼び掛け 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News
日本では、コロナ禍で3度目の緊急事態宣言になり、東京オリンピックの開催が危ぶまれていますが、2022年北京冬季五輪の方も、きな臭くなってきているようです。
これまであまり関心はなかったのですが、ウイグル問題の情報はすでに散見されますし、これから、大きな話になるような気がします。
このまま行くと、リットン調査団のようなものが派遣されるかもしれません。
ウイグル問題については、日本政府の立場も微妙です。
ウイグル人権問題、日本政府は対中制裁に慎重: 日本経済新聞 (nikkei.com)
日本政府がこの状態なのですから、良品計画やユニクロの社長がノーコメントというのも、理解できます。
中国事業が大きなウエイトを占める企業としては、このような回答しかできそうにありません。
ただ、国際世論が大きく舵を切るタイミングがありそうです。それをよく見極める必要があるように思いました。