米国地裁判決で勝訴
2018年4月25日の日経で、円谷プロが、ウルトラマンの海外での利用権は同社が有するという判決を、米国カリフォルニア州中央地区連邦地裁で勝ち取ったというニュースがありました。
- 利用権を、タイ人実業家から承継したと主張する日本企業との争い
- タイ人実業家と円谷プロ間の譲渡契約書が偽造かどうかが争点
- 米地裁は、利用権は円谷プロにあるとし、4万5千ドル以上の損害賠償金支払命令
- ウルトラマンを国外利用権の裁判は、日本、中国、タイでも
- 日本と中国では、初期6作品の利用権がタイ人実業家にあるとの判決が確定
- タイでは、円谷プロの利用権を認める判決
- 円谷プロは、米国訴訟は、証拠開示に基づき極めて信憑性が高いとコメント
- 今後は米国など積極的に海外展開
コメント
著作権裁判ですが、争いは20年かかっているようです。日本では最高裁の判断まで出ており、確定しているようですが、米国地裁の方が、日本の最高裁より、信憑性が高いとコメントしている点に注目しました。
円谷プロのプレスリリースは、こちらです。経緯を詳しく説明しています。
いわゆるディスカバリーと呼ばれる手続を通じて、両当事者の持つ膨大な資料や通信履歴が顕出され、長時間をかけて調査分析が行われました。その結果、これまでの各国の訴訟では明らかにならなかった新たな事実や証拠が顕出されました。また、両当事者の多数の証人や筆跡鑑定の専門家証人等について、デポジション(トライアルの前に宣誓のもと行われる証言)及び証人尋問も行われました。
とあり、最終的には、契約書が偽物と判断されたようです。
より複雑な、この争いの経緯は、下記にありました。
さて、契約書に会社の代表者がサインをしたのに、その記録がこちらに残っていないというのも問題です。
- 契約書は2部作成
- サインした契約書は保管
- 契約をするときには、内部の決裁書(稟議書)を回して関係者の確認を取る
- 代表者も、法務担当がチェックしていない契約書にはサインをしない
というのは、現在は、多くの会社でもやっていることだと思います。
推測ですが、たぶん、当時の円谷プロは、そのようなことを怠っていたのではないかと思いました。
契約書は、1976年にサインされ、タイ人実業家が主張を始めたのは、1995年に円谷プロの元代表者が無くなった後で、そこから20年の争いのようです。
この契約の争いが、海外展開の足かせになってしまったようですので、もったいないなと思いました。
ちなみに、中国では、ウルトラマンもどきの映画があるようです。こちらはこちらで大変そうです。
中国でウルトラマン使用の映画が強行公開 円谷プロが法的措置を明言 - ねとらぼ
米国の訴訟では勝ったとしても、これらに対応していくのは、相当、骨の折れる仕事だと思います。