Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

HPのプレミアムパソコンロゴ

変わった方法

この4年間、ブログを書くために使っていたノートPCのバッテリーが膨らんでしまい、ノートPCの筐体がこんもりと盛り上がってきたので、PCの買い替えが必要になってきました。

パソコンをWebサイトや電機量販店で見ていると、HPのロゴが2つあることを知りました。

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コーポレートロゴやスタンダードパソコンのロゴは、従来からのもので、丸の中に「hp」の文字が入っているロゴです。

 

例えば、ビジネス用のパソコンや、

HP ProBook 635 Aero G7 製品詳細・スペック - ノートパソコン・PC通販 | 日本HP

個人向けのものでも、スタンダードパソコンは、

Pavilion(パビリオン)シリーズ - ノートパソコン(個人) | 日本HP

従来からのロゴです。

 

一方、ビジネス向けも個人向けも、プレミアムパソコンは、右側のロゴ、すなわち、4本線で構成されたロゴです。

HP EliteBook シリーズ | 日本HP

Premium Family | 日本HP

 

このロゴの開発経緯は、Gigazineに詳しく載っていました。新ロゴは、2016年のHP Spectra 13×360から使い始めており、ロゴ開発はMoving Brandsとあります。

ロゴの開発自体はその5年前(2011年)であり、しばらく使われていなかったものが、2016年に製品に使われはじめたとあります。

5年前に誕生したHPの新ロゴが時を経てようやく採用される - GIGAZINE

 

Moving Brandsのロゴ制作のビデオがありました。

HP Particle on Vimeo

 

13度の角度という説明がありますが、これは旧ロゴの「hp」の角度ではなく、もともとのオリジナル(1954年ロゴ)の角度のようです。現行ロゴの用は、もっと斜めに傾いています。13度は、それに比べると垂直に見えます。

創業の精神を体現しているということでしょうか。

 

f:id:yoshikeke:20210409072938p:plainソース画像を表示

 

ブランドロゴ変更自体は、ときどきあり、世の中の変化に合わせて変えるものです。

同じブランドロゴを墨守するだけでは、世の中の変化に取り残されます。

そんため、欧米企業では、日本企業とは比べ物にならないぐらい定期的にロゴを変えます。

美しい会社のロゴ:世界で最も有名なブランドの25のロゴとその歴史 | Logaster (777logos.com)

 

しかし、2つのロゴを同時使用する、それもスタンダードとプレミアムで使い分けるというのは、どういう戦略なのだろうと思いました。

多少の変更期間の猶予はあるとしても、普通なら、変えるなら一挙に変えます。

 

コーポレートブランドを含め、ブランドロゴを変えるのは大変な作業であり、基本は現在のものから変えないが、高級品についてはプレミアム感を出していき、高級品もあるということを訴求したいということでしょうか。

 

現在、Webサイトや量販店の店頭で、HPの製品を見ていると、プレミアムロゴとスタンダードロゴの比率が、半分半分ぐらいのように思います。

おそらく、業務用が大量にあり、売り上げなどでみると、まだまだ圧倒的にスタンダードロゴが多いのでしょうが、プレミアムロゴが相当増えてきます。

 

ただ、この5年間、プレミアムロゴのおかげで、HPのパソコンのイメージ自体もプレミアムに上振れしたのではないかと思います。

そう考えると、このHPの戦略は、

  • ブランドの考え方としては、創業の精神=原点復帰というものを目標にし、
  • ブランド認知としては、プレミアム商品にシフト=ブランドイメージの革新を達成する、

この2つを、同時に達成した、すごくうまくいった戦略ではないかと思いました。

 

また、Hewlett Packard Enterprise(HPE)の分社が、2015年とあります。

ヒューレット・パッカード・エンタープライズ - Wikipedia

売り上げ的には、こちらの方がPCやプリンターのHPよりも相当大きかったと記憶しています。

 

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ヒューレット・パッカード エンタープライズ |HPE 日本

エンタープライズのロゴも、これまでのHPのロゴから大きく変更したことが、話題になっていましたが、同時期に、これまでのパソコンの「HP」も、自分の中に変革の装置を仕掛けていたということだと理解することができます。

 

何も考えずに、プレミアム製品に高級感・違った感を出そうとしてやっただけなのか、戦略的にブランド全体をプレミアムブランドにシフトしようとしてやったのか、どちらなんでしょう。

 

今後、HPのロゴがどうなるのか、楽しみです。adidasのように、3本線や、古いロゴ、メインのロゴと使い分けるのか、プレミムロゴに一元化するのか、どうなるんでしょうか。

 

 

 

キオクシアの買収検討

マイクロン・テクノロジーとウエスタンデジタル

2021年4月1日の日経に、マイクロン・テクノロジーがキオクシアの買収を検討しているという話がありました。

米マイクロンなどがキオクシア買収検討か WSJ報道: 日本経済新聞 (nikkei.com)

とあります。

 

IPOか、売却かについては、どちらともいえないようです。

旧東芝メモリのキオクシア、「上場」か?それとも「買収」か? - M&A Online - M&Aをもっと身近に。

 

  • キオクシアを売却するのか、上場するのかは、同社株の約6割近くを保有する米投資会社のベインキャピタルと4割を持つ東芝の意向によって左右
  • マイクロン・テクノロジーとウエスタンデジタルは「キオクシアの企業価値を約300億ドル(約3兆3200億円)と評価
  • 上場延期では1株2800~3500円と、上場承認時の想定価格3960円を1~3割下回る水準。この場合の時価総額は、約1兆5000億~1兆8800億円

  • そのため上場延期へ
  • キオクシアが手掛けるNAND(ナンド)型メモリーの値上がりはそれほどでもない

とあります。

 

コメント

東芝メモリーが、ファンドに売却され、東芝を冠にした社名から、「KIOXIA」になったとき、日本語の「記憶」を語源とするし、精密機械などで好まれる「K」や「X」が入っているし、短くて、覚えやすい、本格的なネーミングだなと感心しました。

 

その後、Webサイトを見ていると、商標の責任者レベルの募集がありました。

企業の商標担当者レベルの募集はよくあるのですが、責任者レベルの募集はあまり聞いたことがなく、珍しいなと思いました。

 

「KIOXIA」という「KODAK」「KONICA」のような本格ブランドですので、このブランドの一からの立ち上げは、小説にでもできそうないろんな事件が起こると思います。

 

手元に古い本で「ブランドを創る」(講談社、森孝之)という本があります。ワールドの社長室長の本ということです。 

1992年の本で古いのですが、もう一度、読もうと思いました。ブランド立ち上げのヒントがあるかもしれません。

 

元に戻って、「KIOXIA」ですが、もしマイクロン・テクノロジーやウエスタン・デジタルに買収されたら、せっかく出来たブランドがなくなる可能性があり、それはどうかなと思いました。

この点で、このニュースに、反応しました。

 

 

 

 

三島食品の「ひろし」

ゆかり、うめこ、かおりに続き「ひろし」

ふりかけ4姉妹メーカー。青のりの話題

MSNニュースが紹介していた、まいどなニュースの2021年2月10日の記事を読みました。

「ゆかり」3姉妹に「ひろし」が追加されたというニュースです。

ひろし

「ゆかり」3姉妹とは、ロングセラーの「ゆかり」、青じそ「かおり」、ピリ辛たらこ「あかり」の3姉妹です。

ゆかり®梅入りかおり®あかり®

 

これに、「ひろし」が加わりました。「ひろし」は広島菜のふりかけです。

はじめの案では、「ひろこ」で、ほぼ決まっていたようですが、ヒルナンデスで紹介されたときのタレントのコメントがきっかけになり、最後に社長の鶴の一声で「ひろし」になったとあります。

経緯は、まいどなニュースをみてください。

 

ユニークなネーミング手法だなと思いました。

 

三島食品のWebサイトを見てみると、面白い記事があります。

ゆかり®三島食品 (mishima.co.jp)

 

関心をもったのが、「すじ青のり」の収穫が激減し、「うすば青のり」「ひら青のり」という近い種類の原料となり、そのため、商品名を「青のり」から「あおのり」に、パッケージを青から緑に変えて、販売しているという説明です。

すじ青のりの陸上養殖 | ゆかり®三島食品 (mishima.co.jp)

 

丁寧な説明をしていて、これは大変共感を覚えますし、三島食品に対する信頼が高くなるなと思いました。

国産すじ青のりを使用した伝統の「青のり 2.2g」 国産うすば青のり、国産ひら青のりを使用した2020年7月新発売の「あおのり 2.3g」

 

子どものころに、「ゆかり」が出てくる前から三島食品の「青のり」はあったように思います。「青のり」の会社から、「ゆかり」に、そして、ふりかけの総合メーカーとしてな多角化して、「青のり」危機も乗り越えているのは、経営としても上手い経営だなと思いました。

 

また、Webサイトでは、2021年2月発売の「ひろし」も紹介されていますが、社長の話、バーチャル工場見学、係長のLINEスタンプなどもあります。

商品では、COCO一番館とのコラボ商品もあります。

マーケティング的にやるべきこと、ブランディング的にやるべきことをちゃんとやっておられますし、また、パッケージデザインを重視していたり、サイトデザインの品位も保っているので、デザイン面でも素晴らしいなと思いました。

これは参考になると思いました。

 

ちなにみ、1文字から3文字の「ひらがな」の名前を入れて、自分なりのふりかけのパッケージを作れる、「ふりかけ4姉妹メーカー」も面白いものです。

複雑なゲームはできませんが、これは楽しめました。

https://www.mishima.co.jp/sisters/

スマホでしか動作しないようです。

 

「ゆかり」「かおり」「あかり」には、Ⓡもついています。「ひろし」はこれから登録になるのでしょう。法的対応もできています。

富士フィルム ビジネス イノベーション株式会社

ブランドはFUJIFILM

スローガンはValue from Innovation

ドメインネームはhttps://www.fujifilm.com/fb/

Webサイトは同じようなデザイン

でも、ちょっとややこしい

富士フイルムビジネスイノベーション株式会社/FUJIFILM Business Innovation Corp.

富士フイルム [日本] (fujifilm.com)

 

2021年4月1日の日経の2面全面広告で、「富士ゼロックスFUJIFILMへ Accelerate your business success.」という広告を見ました。

非常にシンプルな広告で、真ん中に大きく、上述の言葉があり、右端に「FUJIFILM」の大きなロゴの入った複合機があるだけです。

下欄に、「2021年4月1日 富士ゼロックスは 富士フィルム ビジネス イノベーション株式会社としてスタートしました。」とあります。

 

富士ゼロックの社名変更・ブランド変更だけをストレートに説明している広告です。

 

富士フィルムが米ゼロックスを買収するという話が出て、それがご破算になり、このような結論になったようです。

2017年頃から色々な動きがありました。

 

富士フィルムのWebサイトを見ると、富士フィルムは大きく3つの領域、すなわちコンシューマー(カメラ)、ヘルスケア、ビジネスの領域に分かれているようです。

これに旧富士ゼロックスのドキュメントソリューションを4つめになります。

 

すなおに、考えると、社名は富士フィルムを冠にした富士フィルム  ビジネス イノベーション株式会社、ブランドロゴはFUJIFILM、スローガンはValue from Innovationというように富士フィルムで統一したのですから、Webサイトも一つにした方が良いように思いますが、Webサイトはドメインネームは同じhttps://www.fujifilm.comとしていますが、ディレクトリーの/fb/で運用を分けている感じです。

Webのデザインや操作性は同じですので、基本は同じCMSを使っているようですが、なぜ、ディレクトリで分けているのかなと思いました。

 

製品やサービスで、富士フィルムと旧富士ゼロックスが競合している分野があるとしても僅かだろうと思います。

そうだからこそ、社名もブランドロゴもスローガンもURLも統合できたのだと思いますが、組織にはいろんな違いが残っており、それがこのディレクトリでのWebサイトの運用の違いで出てきているような印象を持ちました。

 

おそらく、社内のルールや給与水準なども違うのかなと思いました。せっかくやるなら、徹底的に富士フィルムになった方が良いと思いますが、どうなんでしょうか。

あるいは、一旦、ここで線引きして、不都合があれば、例えばスローガンを変えるとか、Webデザインを変えるとか、枝分かれする方向が残っているのでしょうか?

コロナ禍で、世界的に複合機の需要は急落しているのだろうと思いますが、ちょっとよくわかりません。

 

 

 

スティック型掃除機の2つのランキング

結果はだいぶ異なります

2021年4月3日の日経プラス1に、スティック掃除機のランキングが載っていました。

  1. ダイソン SV18FF  930ポイント 
  2. 三菱電機 HC-JD2X 800ポイント
  3. 日立  PV-BL2H 670ポイント
  4. シャープ  EC-AR5X 640ポイント
  5. シャーク  CS401J 550ポイント
  6. パナソニック  MC-SBU840K 470ポイント
  7. バルミューダ  C01A 360ポイント
  8. アイリスオーヤマ  SCD-M1P 270ポイント
  9. レイコップ  RSC-3000JPWH 250ポイント
  10. 東芝  VC-CL3000X 250ポイント

 

コードレススティック:キャニスターの販売比率は、2012年に7%:73%だったものが、2018年に44%:41%となり、コードレススティックが逆転している。

ポイントの点数は、吸引性能を家電専門家が複数名参加してテスト。

吸引性能には、持ったときのバランスと、音などの観点も交えて1位から10位までをランキング。

その結果を編集部で集計。

とあります。

 

一方、同じ2021年4月3日に、MBSのサタデープラスで、スティック掃除機のランキングがあり、同じ日にこちらも見ました。

 

4月3日(土) 放送内容|サタデープラス - MBS公式

【サタプラ】2021年『コードレススティック掃除機』比較ランキング (televi.tokyo)

これによると

  1. アイリスオーアマ
  2. バルミューダ
  3. シャーク
  4. ダイソン
  5. シャープ

こちらのアイリスオーヤマの掃除機は未発売であり、日経のランキングとは、そもそも機種が違います。

また、シャークも、品番が違うようです。

 

バルミューダ、ダイソン、シャープは同じようです。

 

コメント

同じ日にスティック掃除機のランキングを2つ見たのですが、結果が異なっており、なぜなのかなと思いました。

 

サタデープラスのランキングは、

・吸引力
・使いやすさ(本体の重さ・操作性・隅の掃除のしやすさ)
・静音性
・手入れのしやすさ
・機能性

をチェックしているのに対して、

 

日経のランキングは、重さ、価格、充電時間は評価対象外で、

吸引力をメインに、持ったときのバランス、音をプラスして評価、

とあります。

 

サタデープラスの方が、手入れのしやすさ、使いやすさ、機能性をより重視している感じです。

評価基準が違うのですから、結論が違ってくるのは致し方ないなというところです。

 

ただ、日経の調査方法ですが、専門家が11名も出ているので、ここは客観性が上がつて良いと思います。

しかし、1位から10位までを採点してもらい、日経が集計とありますが、これは、1位=10点、10位=1点、というような点数にしたのでしょうか。あるいは何か、関数をかけているのでしょうか?ここが不明です。

点数ではなく、1位から10位までという採点手法が、荒いような気がしました。

 

それに比べると、サタデープラスの方が、各項目ごとに点数評価して、それをレーダーチャートにして総合力を出しており、分かりやすいなと思います。

 

また、サタデープラスの1位のアイリスオーヤマは未発売なので、ちょっとここは無理があります。

一方、日経のランキングは、三菱電機、日立、パナソニック東芝といった既存の日本のメーカーへの配慮があるような気がしました。

これは考えすぎでしょうか。 

最近の中国の家電メーカー

TCL、ハイセンス、美的集団など

2021年3月27日の日経に、中国の家電メーカーの最近の動きが載っていました。

中国家電TCL、敵対的買収へ: 日本経済新聞 (nikkei.com)

  • TCLは、広東奥馬電器の株式の20%を取得。奥馬電器は冷蔵庫のフォックスコンと呼ばれ、海外に強み
  • TCLは、テレビなど黒物中心
  • 総合電機になることで、需要の波を乗り越え、また、ブランド力を高める
  • 白物と黒物を手掛けるハイセンスは、日本の自動車向け空調大手のサンデンHDを200億円で買収
  • BtoB分野を強化、技術・人材・生産資源の共有化
  • ハイセンスは、TVS REGZAを子会社にしている。2021年半ばにはTOSHIBAブランドの北米テレビの台湾会社へのブランド使用権のライセンスが切れるので、TOSHIBAブランドで、北米で高価格帯のテレビを開拓
  • エアコンの美的集団は、中国の医療機器メーカーを買収
  • 冷蔵庫、洗濯機のハイアールは、バイオ医療事業を強化
  • 日本メーカーは、事業に切り替えに時間がかかったが、中国の家電メーカーの動きは早い

とあります。

 

コメント

中国の家電メーカー各社の動きがまてめて記載してあるので、よくわかる記事でした。

  • TCLは、黒物中心なのを白物に強い会社を買収して、多角化して、総合電機になる道を選び
  • 既に白物と黒物のメーカーである、ハイセンスは、BtoB市場に進みつつ、TOSHIBAブランドの活用で北米市場を開拓し、
  • 美的集団やハイアールは、医療機器・医療事業などを強化するとあります。


面白いと思ったのは、

  1. 黒物のTCLが白物事業を入れて、総合電機になり、ブランド力を高めるという戦略
  2. ハイセンスの北米テレビでのTOSHIBAの活用

です。

 

1.については、世界3位と強いテレビがあるなら、テレビで世界TOPを狙う方が良いのではないかという気がしましたが、多角化でブランド力を強化する方が、良いという判断なのでしょうか。

ブランド力を強化するというためには、奥馬電器のブランドではなく、TCLのブランドで売り出す必要があります。

奥馬電器のWebサイトは次です。

奥马冰箱-中国冰箱出口11连冠 (homa.cn)

どうも製品に「HOMA」のブランドが見当たりません。奥馬電器は、OEMメーカーだからでしょうか。それなら、TCLはOEMで奥馬電器から冷蔵庫を仕入れすればよいように思いました。

しかし、それでは、TCLとしては意味がないのでしょう。

もし奥馬電器がTCLに買収されたとすると、OEM中心の事業から、TCLブランド冷蔵庫に、どこかで切り替えが起こるはずです。奥馬電器はそれを嫌っているのだろうと思いました。

 

2.のハイセンスですが、北米で高級品はTOSHIBA、普及品はハイセンスとすることで、製品シェアが稼げますが、ブランドシェアは、TOSHIBAとHisenseに分かれてしまいます。

40年契約ですので、40年間は、製品シェアを狙う方法が取れます。

 

オーディオなどでは、超高級品と普及品で、セグメントを分けることも可能です。

しかし、テレビでは、セグメント訳が難しいような気がします。

 

Hisenseの戦略としては、短期的にはTOSHBAのブランド力を活用して売りをとりつつ、あるところから、TOSHIBAのブランドのブランド力を、Hisenseブランドに移行させるのが通常ではないでしょうか。

共同開発している、共同調達しているなどとPRするだけでもブランド価値はシフトします。

しかし、この観点からすると、今回は、TOSHIBAのテレビ事業を傘下に入れた時点で、TOSHIBAのテレビのブランド力は、Hisenseブランドに、相当移ってしまったような気がします。

 

日本からの外国出願は「特許が多くて商標が少ない」

理由は?

 

あるメーリングリストで、「国境を超えた商標出願と特許出願」という分析があることを知りました。

科学技術指標2020・html版 | 科学技術・学術政策研究所 (NISTEP)

 

国境を越えた商標出願数と特許出願数について、人口100万人当たりの値で比較すると、最新年で商標出願数よりも特許出願数が多い国は、日本のみである。最新年で商標出願数の方が特許出願数より多い国は、英国、米国、フランス、韓国、ドイツである。韓国、英国、ドイツについては2002~2017年にかけて、商標の出願数を大きく増加させた。

日本は技術に強みを持つが、国全体で見ると、それらの新製品や新たなサービスの導入という形での国際展開が他の主要国と比べて少ない可能性がある。

国境を越えた商標出願とは、外国へ出願した商標を意味する。日、独、仏、英、韓については、米国特許商標庁へ、米国については日本と欧州へ出願した商標の数を補正した値を使用した。

国境を越えた特許出願は、三極パテントファミリーをいう。

日本は技術に強みを持っているが、新製品や新たなサービスの導入などといった活動の国際的な展開に課題があり、この状況に大きな変化は見られないと考えられる。

製造業に強みを持つ国や、情報通信産業に特化した国では、商標よりも特許の出願数が多くなり、サービス業の比重が多い国では、商標出願数が多くなる傾向が過去には見られていた。しかし、2002年と比べると、韓国、ドイツは商標を大きく伸ばしていることから、製品を用いたサービスの国際展開をはかっている可能性がある。

 とあります。

 

国境を越えた特許出願を三極パテントファミリーでみて、商標出願を米国への出願数でみるというものです。

米国は世界の商品が集まりますので、米国での商標の強さ、存在感は、ほぼ世界の中での商標の強さ、存在感に一致するということは理解できます。

しかし、ここに、この調査への批判が集中しそうです。

 

●たとえば、日本からの外国出願は、

意匠・商標出願動向調査 | 経済産業省 特許庁 (jpo.go.jp)

2019shohyo_macro.pdf (jpo.go.jp) (商標出願動向調査報告書)

によると、

 

日本国居住者が出願する先は、2018年の合計の数字ですが、

  1. 中国:23,068件
  2. 台湾:4,7401
  3. 米国:4,081
  4. 韓国:3,882
  5. タイ:3,829
  6. 香港:3,076
  7. EUIPO:2,743
  8. マレーシア:2,728
  9. シンガポール:2,189
  10. インドネシア:1,979

となっています。上位10ヵ国で、52,315件です。おそらく、このあとも、200ヵ国地域がありますので、ロングリストは続きます。

日本企業の商標出願は、アジア中心、特に中国中心であることが分ります(全体に、中国と米国は伸びています)。

商標出願は市場がある出願するということからすると、米国は日本企業にとって、主要な市場ではないようです。

 

●一方、よく見る、5極の商標出願のやり取りを見ると、そもそも、外→内、内→外ともに、線の細さが気になります。

欧州⇔米国、欧州⇔中国、米国⇔中国は、相互に、相当数の出願を出しています。

 

日本については、欧州、米国とのやり取りでは、圧倒的に日本は入超です。

中国は、日本からの中国出願は多く、中国企業の日本出願は少ない状態です。

honpen0101.pdf (jpo.go.jp) (特許行政年次報告書2019年版 33ページなど)

 

結局、日本は、中国やアジアを市場として重視しており、次に米国であり、欧州は市場としての価値は低いということになります。

一方、欧州や米国企業からすると、日本は市場であり、商標は入超になるということです。この関係は、特に、欧州で顕著です。日本から欧州への商標出願は少ないですが、欧州からの日本への商標出願は相当多い状況です。

 

●電気電子の完成品では、既に中国に完敗したので、現在、日本が強い商品は、部品・部材だけであり、そのあたりは、中国が市場であり、米国は直接の市場ではないという点もあります。

しかし、中国は完成品から、今後は、部品部材にシフトしますので、日本の部品メーカーも、これからは全く安泰ではありません。

中国、電子部品産業を育成、23年に34兆円規模めざす: 日本経済新聞 (nikkei.com)

 

●あるいは、そもそも、中国やアジアは、近い国であり、そことの商取引が活発になるのは当たり前という気もします。

商取引が活発になると、商標出願の外国関係の件数は増大します。

 

そうすると、米国への特許出願の比率が高いこと自体が異常であるということになります。商売もしていないのに、特許を取る意味はなんなんでしょうか。

 

以前であれば、米国に商品を沢山輸出していたので、米国で権利を取る意味がありましたが、商売が縮小しているなら、権利を取るもの縮小方向で良さそうです。

1990年台に米国企業からいじめられたことで、羹に懲りてなますを吹くをということで、保険のような感覚で、米国で特許を取っているのでしょうか。

 

あるいは、中国が直接の市場ではあるが、その製品は米国に行くので、その米国で特許がないと、中国で部品・部材が売れないということでしょうか。

 

●どちらにしても、経済の往来が活発になれば、商標が増えることは間違いありません。

外→内が増えるのは、日本が市場であることを意味し、

内→外が増えるのは、日本が当該国を市場と見ていることを意味します。

 

外国商標出願が少ないのは、海外との取引が低調であることの現れであるだけです。