事例15から18(主に特許と意匠)
引き続き、特許庁の「Rights」を読んでいます。
知的財産を経営に生かす知財活用事例集「Rights」について | 経済産業省 特許庁 (jpo.go.jp)
15 株式会社システムスクエア:異物検査機の会社
特許のために、設計変更で苦労したり、特許請求の範囲を小さく書いてしまい失敗したりしたことを契機に、知財部門をつくり、二名体制。
弁理士の提案通りに権利化を進めるのではなく、会社の権利化目的に沿っているかを考えている。
特許出願は、製品を分解して行う。
知財で製品を守ることで、開発費を確保して、次の開発に回す。
海外では中国、欧州、東南アジアで権利化。
16 株式会社オーレック:農業機械の会社
農家のニーズを探り、製品化。
農家が変化しており、良い農作物を作る農家から、農業を経営し、農家自身がブランディングをしている。普段使うツールも、デザイン性の高いものを求めるようになった。
創業70周年を機に、オーレック自身がリブランディングした。「草とともに生きる」というコンセプトをつくった。
外部のプロダクトデザイナーを起用。
意匠も重要な知財と考えるようになった。
また、商標も「WEED MAN」「SNOW CLEAN」「Dr.MIST」とある。
17 株式会社シェルター:木造建築設計・建材開発の会社
大型の木造建築に同社の技術、製品が使われている。
地震に強い金物工法(KES構法)と耐火木材(COOL WOOD)。
社団法人を作って、技術を公開。市場を広げる。
一方、耐火木材の参入障壁は高い。大企業でも簡単ではない。同社の木材を使わざるを得ない。
18 株式会社昭和:チタンの会社
技術者が辞め、会社の技術が流出する。
特許を取ることで、技術流出を止める。
チタンを活用して、電解還元水(健康)、高レベル核廃棄物の800年~1000年の保管(環境)、シリコンに換わる太陽電池(エネルギー)に進出。
特許は海外でも取得するが、海外事業にはパートナーが必要。
論文にも力を入れ、ネイチャー、サイエンスに掲載する。
コメント
各社面白いのですが、
「システムスクエア」は、特許出願は製品を分解して行うという点が面白いと思いました。特許を取得する意味は、知財サイクルの考え方に近いようです。
「オーレック」は、農家が昔の農家ではなくなり、単に機能性だけでなく、デザイン性を求めるようになっており、それに対応して、外部のプロダクトデザイナーを起用して、意匠をしているというのは新しい気づきでした。
医療機器の製品意匠が、相当良くなっているのですが、これは医療機器を使う医者や検査技師がデザインを重視するためと思います。
製品デザインについても、時代は着実に変わっているな思いました。
「シェルター」は、技術ブランディングですね。特に、工法を広め、部材の販売で収益を得るという方法が、参考になります。今度、技術ブランディングの話があったときに、使おうかなと思いました。
「昭和」は、特許の取得目的が、従業員が辞めることによる技術流出を防ぐためだったというのが面白いなと思いました。こんな人事的な意味もあるんですね。
また、ネイチャー、サイエンスに論文を載せたいなど、大企業でも一部の研究者しかできないことです。すごいなと思いました。
4社を並べると、
15 株式会社システムスクエア
16 株式会社オーレック
17 株式会社シェルター
18 株式会社昭和
となりますが、なぜか、「前株」の会社ばかりです。技術系の会社は、「前株」が好きなのかなと思いました。
「後株」よりは、新しい感じ、技術に強いイメージがあるのでしょうか。
ただ、社名自体は、「オーレック」以外は、独自性はありません。
中小企業が、社会的に認知をしてもらい、大きくなるためには、社名も重要ではないかと思いました。
社名は、コーポレートブランドでもあるので、通常の商標よりも、社名です。