Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

新会計ルール

収益認識に関する会計基準

2021年5月14日の日経に、2021年4月以降に始まる決算期の新会計ルールについての説明がありました。

新会計ルールで「大幅減収」相次ぐ 三越伊勢丹、今期5000億円目減り: 日本経済新聞 (nikkei.com)

  • 百貨店、商社、電力大手などが影響を受ける
  • 新しいルールの名称は、「収益認識に関する会計基準
  • 売り上げをいつ、どのように計上するかを包括的に定めたもの
  • 企業が本人なら総額を、企業が代理人なら手数料部分のみを、売上高に計上する
  • 消化仕入れでは、仕入れ、資産として保有、在庫リスクは、あくまで取引先である
  • 仕入れ費用6,000円、店頭価格10,000円であれば、従来は売上高は10,000円だが、新基準では4,000円
  • 百貨店はあくまで代理人
  • 国際会計基準(IFARS)や、米国会計基準では既に導入されていた

コメント

代理人か、本人かという区別ですね。リスクを負わない「消化仕入れ」では、そうなるのかもしれません。

三越伊勢丹などは、この基準変更で、45%の減収になるとありますので、影響は相当大きいなと思います。

 

さて、特許事務所で外国商標の仕事をしていますが、売上高は多く見えても、実は現地代理人への費用の立替金が約3分の2ほどあり、日本の売上高は約3分の1にどどまります。

新会計ルールでは、売上高は3分の1になりますね。

もっとも、中小企業の会計処理は、従来通り企業会計原則等による会計処理が認められるとあります。

税理士が解説!「収益認識に関する会計基準」とは? | コラム | ERP ProActive-SCSK株式会社

 

ちなみに、新会計ルールを待つまでもなく、立替金は売上としては認識していなかったので、経営に影響は全く影響ないというところですが。

 

外国商標の仕事は、手間がかかります。

客先との連絡、現地との連絡、また客先との連絡、また現地への指示と、相当手間がかかる仕事で、あまり利益は出ません。

働き方改革で、労働時間の制限もあるので、非常に厳しいところです。

 

昔は、企業の参入もなく、弁理士事務所の独占でしたが、いまは、更新業務は企業が持って行ってしまい、また、外国出願の場合は新規出願も企業で行うことが可能ですので、厳しい競争環境にあります。

これに勝つには、規模の経済を追うか、専門性を高めて得意領域も持つしかありません。

 

企業はパワーで押してきます。Webサイトを見ても、その差は一目瞭然です。

外国商標に強い特許事務所も、アメリカ留学経験がある弁理士がいてアメリカ法に強い、欧州留学経験の先生で欧州の制度に明るい、中国人弁護士を雇っている(中国人が経営している)、インド人弁護士が経営している、など、いろんな特許事務所があります。

これに伍してやっていくのは、並大抵ではありません。