Nishinyの商標・ブランド日記

商標・ブランドの情報です。弁理士の西野吉徳のブログです。

アリナミン製薬に社名変更

武田コンシューマーヘルスケア(株)から社名変更

2021年3月19日付の武田コンシューマーヘルスケアのニュースリリースに、同社が2021年3月31日から社名をアリナミン製薬(株)にするということが掲載されています。

J-TCHC_Press_release_20210319-1.pdf (takeda-chc.co.jp)

 

  • 現行社名:武田コンシューマーヘルスケア(株)
  • 新会社名:アリナミン製薬(株)
  • 武田薬品からブラックストーンのファンドへの譲渡日が3月31日
  • 60年以上長きにわたりご愛顧いただいている最大のブランド「アリナミン」の正当な継承者

とあります。

 

同社のWebサイトには、主力ブランドの一覧がありました。

製品情報 ブランド名から探す | タケダ健康サイト (takeda-kenko.jp)

この中では、アリナミンがトップで、次にベンザ、タケダ漢方便秘薬と続きます。そのほか、HICEE(ハイシー)、nicorette、TYLENOL(タイレノール)、ボラギノール、マイティアなどが紹介されています。

 

また、各ブランドのブランドサイトの一覧もあります。

ブランドサイト一覧 | タケダ健康サイト (takeda-kenko.jp)

ここでも、アリナミンがトップです。

 

アリナミンというと錠剤を思い出しますが、最近は、栄養ドリンク剤や、ゼリー状のものもあるようです。

アリナミン (alinamin.jp)

現在のアリナミンの瓶やパッケージには、うろこのマークに「タケダ」があります。

 

コメント

 

まず、社名がアリナミンになったというのが、ニュースです。製品ブランドではなく、新しいコーポレートブランドを作る方法もあったと思いますが、過去の信用を承継することを選択したようです。

 

nishiny.hatenablog.com

 

2021年3月19日の朝日新聞の電子版によると、新社名は全従業員約300人から意見を募るなどして決めたとあります。

 

コーポレートブランド戦略をとるか、個別ブランド戦略をとるかとなり、既にアリナミン、ベンザ、ボラギノール、マイティアなどの強い個別ブランドがあるので、社名は後ろに控えて、当たり障りのない名称にしておく方法もあったのでしょうが、従業員は、コーポレートブランドに求心力、強さも求めているようです。

 

GEなどが先例ですが、電機業界では、商標や商号を、資本の薄い会社にライセンスし、消費者の認知とブランド使用料をとるという方法がよくあります。

 

nishiny.hatenablog.com

 

しかし、今回、武田薬品工業はその手法は取らないようです。

 

ただ、これからは、

  1. アリナミン製薬の「アリナミン
  2. アリナミン製薬の「ベンザ」
  3. アリナミン製薬の「タケダ漢方便秘薬」

となります。

1.は良いのですが、2.は少しだけ違和感があり、3.は「タケダ」漢方便秘薬という名称を継続できるのかなぁ、「アリナミンン漢方便秘薬」とすると「アリナミン」のイメージと合わないように思います。

武田薬品工業が「タケダ」を使わせてくれるなら「タケダ漢方便秘薬」を継続で、使わせてくれないなら、商標変更ですね。

 

また、ラベルやパッケージのうろこのマークやタケダもどうするのかなと思います。アリナミンというコーポレートブランドを強化するなら、うろこのマークやタケダは不要です。反対に、ベンザやその他の薬には、すくなくとも、裏面には、アリナミンンのロゴを配置して、アリナミンを主張する必要があります。

 

 

nishiny.hatenablog.com

 

タケダのコーポレートマークを最近よくみるので、これまでのうろこマークの神通力は落ちていると思います。

アリナミン製薬としては、各個別ブランドと、アリナミンのコーポレートブランドがあれば、タケダはなくとも、戦えるのではないかと思います。

 

発表から、変更までの期間の短さもあります。社名変更の発表が2021年3月19日で、変更日が2021年3月31日とあります。12日しかありません。

こんな短い期間では、顧客や消費者に社名変更の連絡をすることは可能でしょうが、それ以上のことはできません。

社名変更は定款変更事項なので、株主総会も必要であるが、同社の場合は現在は武田薬品工業(株)の100%子会社なので、定款変更も容易ですが、それでも早いなと思います。

 

アリナミンなどの製品の瓶のラベルや、パッケージには、うろこのマークやタケダの文字がありますが、これは、武田薬品工業と契約をして、当面は使用継続するしかないのだろうなと思いました。

2021年3月31日の生産分からは、ラベルやパッケージの製造者や販売者は、武田コンシューマーヘルスケア(株)というわけにいきません。アリナミン製薬(株)とする必要があります。

2021年9月に売却が報道されているので、そこからは、変更すること自体はオープンですが、社名が明らかになったのが最近ですから、これで準備が間に合うのかという気がします。

現場は、てんてこまいになっているはずです。